Welcome  ◎過去ログは、この記事の下に表示されます。

   このブログは、映画 『世界はときどき美しい』 の御法川修監督と、
  女優デビューを飾った片山瞳さんの交換ブログとしてスタートしました。
  映画は、第19回 東京国際映画祭でお披露目されたのち、
  2007年3月31日に渋谷ユーロスペースで封切られました。
  以後、順次全国で公開された他、国内外13の映画祭でも上映。
  現在はDVDが発売&レンタル中です。

  日本映画バブルの渦の中で公開された、小さな小さな一本ですが、
  製作に携わった私たちにとっては、かけがえのない大切な作品です。
  振り返れば、最初は行き先の不安な船出でした。
  ゆっくり一年をかけて、思いがけないほど多くの観客に恵まれた今は、
  映画のタイトルを口にして、その響きに深く頷いてしまいます。

  このブログは、私たちの映画が歩んだ一年間の軌跡です。
  右サイドバーに整理された情報は、メモリアルアルバムのような趣き。
  劇場へ足を運んでくださった方、DVDで新たに映画と出会ってくれた方、
  これからも多くの人たちが、このブログを訪ねてくれることでしょう。
  この映画が、それぞれの暮らしの中で育まれることを祈っています。
  これからもずっとずっと。  (2008年5月21日掲載)



  News Release  ◎過去ログは、この記事の下に表示されます。

  ◆御法川修監督の最新作が2作品同時に始動!!
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   出演◎吉行和子/富司純子/中尾ミエ/藤 竜也
        平岡祐太/村川絵梨/戸次重幸
   主題歌◎原 由子 「ヘブン」   配給◎ショウゲート
   脚本◎西口典子  監督◎御法川 修
   2012年秋、シネスイッチ銀座 他 全国公開
   Copyright © 2012 「人生、いろどり」 製作委員会

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   映画 『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』
   主演◎柴咲コウ/真木よう子/寺島しのぶ
   原作◎益田ミリ (幻冬舎刊)
   脚本◎田中幸子  監督◎御法川 修
   配給◎スールキートス  2013年、全国公開

   Copyright © 2012 「すーちゃん まいちゃん さわ子さん」 製作委員会
   (2012年4月15日掲載)


  ◆片山瞳さんの最新作は、映画 『海燕ホテルブルー』 のヒロイン
   第60回ベルリン国際映画祭で銀熊賞 (最優秀女優賞) を受賞した
   寺島しのぶさん主演作 『キャタピラー』 など話題作を次々発表している
   鬼才若松孝二監督の最新作で、片山瞳さんがヒロインに抜擢
   直木賞作家船戸与一氏による同名小説の映画化。
   下のバナーを Click 予告編をご覧いただけます。
   (2011年10月28日掲載)
   


  ◆御法川修監督が手がけたコーポレート映像が受賞
   美容サロン用ヘア化粧品の総合メーカーとして国内トップを誇る
   (株)ミルボンの創業50周年記念映像を御法川監督が演出しました。
   片山瞳さんも特別出演されています。
   記念式典で一度限り上映される作品として完成したのですが、
   映像文化製作者連盟が主催する映像祭 「映文連アワード2010」 の
   大賞に当たる経済産業大臣賞を受賞しました。
   (2010年9月30日掲載)

   


 ◆『SOUL RED 松田優作』 (監督御法川修)
  生誕60年没後20年のメモリアルとして、
  最初で最後の公式ドキュメンタリー映画が誕生
  今なお人々の心に生き続ける男の軌跡。

  ★DVD発売中 ★ORICON TOP
  第22回 東京国際映画祭 特別招待作品
  Copyright © 2009 SOUL RED Film Partners 


◆御法川修監督が手がけたテレビCM が好評オンエア中
  映画界の豪華スタッフが顔をそろえ、贅沢な仕上がりになっています。
  是非ご覧になってください。
  (2009年3月1日掲載)

 

  スープで食べる、野菜のおいしく新しいカタチ 「ベジさめ」 新発売
  TV-CM 「モノクローム」 篇 Starring 加藤ローサ
  ★コチラを Click ムービーでご覧いただけます。
  Copyright © 2009 Acecook Co.,Ltd. All Rights Reserved.


  第49回 「消費者のためになった広告コンクール」 金賞受賞
  
  For Earth,For Life 〜 株式会社クボタ
  TV-CM 「過去と未来 (eプロジェクト地球小屋)」 篇
  ★コチラを Click ムービーでご覧いただけます。
  Copyright © 2009 Kubota Corporation. All Rights Reserved.


2007年07月05日

一期一会

片山瞳さま

御法川です。
たった今、明け方の連絡で知りました。
京都で、山口伊太郎翁が鬼籍に入られたそうです。
享年105。

京都みなみ会館」 での上映初日を控えた、ちょうど一週間前。
伊太郎翁のドキュメンタリーに取り組んでいた二年前のことを、
このブログで回想したばかりでした。 

あなたが思い出してくれた通り、
事前取材のために初めて京都を訪れたのは桜が満開のころ。
京都紫野 (むらさきの) の地に在るご自宅へ招かれたのでした。
ご高齢であることへの配慮から、せめてご挨拶ができれば・・・
といった程度の心積もりだったはずが、
結局ご家族からも丁寧なもてなしを受けてしまい、
帰路につくころには夜。
電灯の少ない旧街道沿いを、ひとりてくてく宿まで歩いて帰ったのでした。
やはり緊張していたのでしょう。
道端でどっと疲れが出てしまい、神社の境内にしゃがみ込んで
桜を眺めたのです。
視界を埋め尽くすような桜の舞に意識が飛んで、
「気が狂いそうだ」 と、あなたにメールを送ったことも憶えています。
あのころ、あなたはまだ福岡にいたのでしたね。

そんなブログを東京で書いていた27日に、伊太郎翁は息を引き取られた。
ぼくがカメラを据えた京都のご自宅で。
老衰だったとのこと。

これが一期一会というものなのでしょう。
ご冥福をお祈りします。
心から。

伊太郎翁がライフワークとして取り組んでいたのは、
源氏物語錦織絵巻』。
現存最古といわれる物語絵巻 「源氏物語絵巻」 を、
西陣織の究極の粋を集めて創造しようという試み。

源氏物語の華やかな舞台が描かれていたはずの絵巻は、
すでに色が褪せ、当時の面影はありません。
この絵巻が描かれた時の本来の姿はどのようなものであったのか、
人々は様々に想像してきました。
科学技術を駆使して復元も行われましたが、
伊太郎翁は自らの想像力をふくらませることで色彩を生み、
織物として表現したいと考えたのです。
その仕事に着手したのは、70歳を過ぎてから
伊太郎翁の人生には定年も引退もなかったわけです。

全4巻の 「源氏物語絵巻」 のうち、3巻までが錦織絵巻として完成。
フランス国立ギメ東洋美術館に所蔵されています。
約30年の年月を要した織物の完成度を、ここで言葉にすることはできない。
ただひとついえることは、
それだけの情熱や労力、技術、時間やお金を尽くしきったとしても、
果たせないものが残る、ということ。
伊太郎翁は、最後の4巻目を2010年に完成させる覚悟でいたのです。

人生というのは、なんて短いんだろう。
伊太郎翁は105歳を生きた。
もっと早くに亡くなられる方もいるでしょう。
どっちにしても、人は生きている間に、ちょっとのことしかできない。

亡くなられた人のことを想うと、やっぱり泣けてくる。
涙が枯れるなんて、ウソだ。
人が生きている限り、涙は枯れない。

◆追伸
ぼくは7月7日(土)に広島 「横川シネマ」 の先行上映へ。
翌8日(日)には、あなたと合流して 「福岡アジア映画祭 2007」。
ぼくらの小さな取り組みも、大きな時間の流れに組み込まれた、
かけがえのない一瞬です。
ぼくらが死んでも、映画は残る。
そのことの意味を、真摯に引き受けたいと思っています。
posted by seka-toki at 05:58 | 御法川修より