御法川です。
雨の日は嫌いじゃないけど、台風ともなると呑気でいられないね。
被害が最小限に食い止められることを祈ります。
無我夢中で曜日の感覚がなくなっていた日々も少し落ち着いて、
あともう一息。
そんな、せわしない最中、
ぼくは京都と広島と福岡の上映に立ち会ったわけです。
移動の新幹線で爆睡している時間ばかり長くて、
ご当地メニューに箸をつける余裕もなく、トンボ帰り。
帰りの便を気にして酒宴も控えなきゃならないのは辛かったな。
「福岡アジア映画祭」 の夜も、本当なら浴びるほど呑みたかった。
呑んで寝てしまいたかった。
でも、ウーロン茶片手のあなたがニコニコ嬉しそうにしてたから、
「まあ、いいか・・・」 と気休めになりました。
上映の翌日は、映画祭の皆さんから代わる代わるモーニングコール。
朝一の飛行機で帰京。
電話の向こうでザワザワ楽しそうにしているのが恨めしくて・・・。
トホホだったよ。
ぼくは羽田に着いたその足でスタジオに直行。
しばらく福岡に後ろ髪を引かれてました。
福岡では、あなたのご両親に挨拶をすることができましたね。
「たいせつな娘さんをお預かりしてムニャムニャ」 と、
なんだか結婚でも申し込むような緊張があったんだよ、本当は。 (笑)
ぼくらの仕事は、肉親が期待する 「子供であること」 から
遠く離れてしまう側面があります。
ある種の裏切りに近いかもしれない。
今回の映画でいえば、
娘が大画面でキスする場面を親が見なければならない理由はないし、
理解してくれというのも酷なこと。
でも、そこには “意味” があることを、きちんとお伝えしたかった。
一応ぼく、監督だしさ。
少しでも安心してもらえたら・・・と思っていたのだけど、
無用の心配だったみたいだね。
上映後に挨拶を返してくれたご両親とも、やさしい笑顔だったから。
お父さんはスマートな物腰だし、お母さんはチャーミング。
あなたが愛情を注がれて育ったことを知れて、ほんのり嬉しかった。
共に映画を創った仲間としての至福でしょう。
その 「福岡アジア映画祭」 は、あなたがブログに書いていた通り。
ぼくが体験してきたマイアミやバルセロナの映画祭と何ら変わらない
映画への愛情に満ちた、素晴らしい映画祭でした。
すべてボランティアで運営されているということは、
無償の奉仕に支えられているということ。 (・・・当たり前だよね)
とかく奉仕がギスギスした結果しか生まないこのご時世に、
映画祭スタッフのきらきらした笑顔は見逃せない。
有志の方々が、それぞれ暮らしを支える基盤を
映画以外に持たれている立派な生活者であること。
そこからくる精神のゆとりを感じました。
もちろん、暮らしと並行して映画祭の運営に尽力することは
並大抵のことではないでしょう。
でも、生活のそばに 「映画」 があることは、本当にすてきです。
自らプログラムを組んだ作品を、上映することへの誇り。
一度限りの上映に際して日本語字幕を付ける丁寧さ。
そのことを当たり前のこととして行えるのは、
“観たい” “見せたい” という原石のエネルギーが
ゆるいでいないから。
映画祭実行委員長の前田秀一郎さん、今村ミヨさん。
映画に身を捧げても、生活において報われることは少ないでしょう。
ぼくも苦しくなるばかりです。
でも、代わりのきかない個人の行動が、
必ず美しいものを生むことを信じています。
ぼくは前田さん達がセレクトした映画を一本でも多く観てみたい。
そう思っています。
強く。
そうそう、「京都みなみ会館」 での上映が終了しました。
大阪と同じように、東京と変わらない好調な動員だったとのこと。
今月28日(土)から公開がスタートする広島 「横川シネマ」 でも
上映回数を増やしたタイムテーブルを組んでくれました!
映画館とスクラムを組ませていただいている、確かな実感があります。
福岡ソフトバンクホークスの王貞治監督は、
ホームランを打つならフェンスを越すぐらいのイメージじゃダメだ、
もっと上を狙いなさい、と選手に教えるそうです。
そうじゃないとホームランは打てないんだ、と。
ぼくらの日常も同じじゃないかな。
映画を宣伝し、観てもらうことも、また同じ。
上を上を! と目指して、それだけの努力をしても、
現実はかなり下。
それでも諦めない。
足を止めない。
今週末からは、横浜と神戸で公開がスタート!
ぼくはフェンスのさらに上へ目を向けてバットを振る構えです。
イベントが盛りだくさんなのは、劇場スタッフのバット・スイングが
速いことを物語っていると思う。
ひとりでも多くの観客と映画が出会えることを期待して、励みます。
これより素振り100万回!!