Welcome  ◎過去ログは、この記事の下に表示されます。

   このブログは、映画 『世界はときどき美しい』 の御法川修監督と、
  女優デビューを飾った片山瞳さんの交換ブログとしてスタートしました。
  映画は、第19回 東京国際映画祭でお披露目されたのち、
  2007年3月31日に渋谷ユーロスペースで封切られました。
  以後、順次全国で公開された他、国内外13の映画祭でも上映。
  現在はDVDが発売&レンタル中です。

  日本映画バブルの渦の中で公開された、小さな小さな一本ですが、
  製作に携わった私たちにとっては、かけがえのない大切な作品です。
  振り返れば、最初は行き先の不安な船出でした。
  ゆっくり一年をかけて、思いがけないほど多くの観客に恵まれた今は、
  映画のタイトルを口にして、その響きに深く頷いてしまいます。

  このブログは、私たちの映画が歩んだ一年間の軌跡です。
  右サイドバーに整理された情報は、メモリアルアルバムのような趣き。
  劇場へ足を運んでくださった方、DVDで新たに映画と出会ってくれた方、
  これからも多くの人たちが、このブログを訪ねてくれることでしょう。
  この映画が、それぞれの暮らしの中で育まれることを祈っています。
  これからもずっとずっと。  (2008年5月21日掲載)



  News Release  ◎過去ログは、この記事の下に表示されます。

  ◆御法川修監督の最新作が2作品同時に始動!!
      sankeiwest.gif
   Irodori_Rogo-A.jpg
   出演◎吉行和子/富司純子/中尾ミエ/藤 竜也
        平岡祐太/村川絵梨/戸次重幸
   主題歌◎原 由子 「ヘブン」   配給◎ショウゲート
   脚本◎西口典子  監督◎御法川 修
   2012年秋、シネスイッチ銀座 他 全国公開
   Copyright © 2012 「人生、いろどり」 製作委員会

   Suchan_Main.jpg imagesCAJCMW11.jpg
   映画 『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』
   主演◎柴咲コウ/真木よう子/寺島しのぶ
   原作◎益田ミリ (幻冬舎刊)
   脚本◎田中幸子  監督◎御法川 修
   配給◎スールキートス  2013年、全国公開

   Copyright © 2012 「すーちゃん まいちゃん さわ子さん」 製作委員会
   (2012年4月15日掲載)


  ◆片山瞳さんの最新作は、映画 『海燕ホテルブルー』 のヒロイン
   第60回ベルリン国際映画祭で銀熊賞 (最優秀女優賞) を受賞した
   寺島しのぶさん主演作 『キャタピラー』 など話題作を次々発表している
   鬼才若松孝二監督の最新作で、片山瞳さんがヒロインに抜擢
   直木賞作家船戸与一氏による同名小説の映画化。
   下のバナーを Click 予告編をご覧いただけます。
   (2011年10月28日掲載)
   


  ◆御法川修監督が手がけたコーポレート映像が受賞
   美容サロン用ヘア化粧品の総合メーカーとして国内トップを誇る
   (株)ミルボンの創業50周年記念映像を御法川監督が演出しました。
   片山瞳さんも特別出演されています。
   記念式典で一度限り上映される作品として完成したのですが、
   映像文化製作者連盟が主催する映像祭 「映文連アワード2010」 の
   大賞に当たる経済産業大臣賞を受賞しました。
   (2010年9月30日掲載)

   


 ◆『SOUL RED 松田優作』 (監督御法川修)
  生誕60年没後20年のメモリアルとして、
  最初で最後の公式ドキュメンタリー映画が誕生
  今なお人々の心に生き続ける男の軌跡。

  ★DVD発売中 ★ORICON TOP
  第22回 東京国際映画祭 特別招待作品
  Copyright © 2009 SOUL RED Film Partners 


◆御法川修監督が手がけたテレビCM が好評オンエア中
  映画界の豪華スタッフが顔をそろえ、贅沢な仕上がりになっています。
  是非ご覧になってください。
  (2009年3月1日掲載)

 

  スープで食べる、野菜のおいしく新しいカタチ 「ベジさめ」 新発売
  TV-CM 「モノクローム」 篇 Starring 加藤ローサ
  ★コチラを Click ムービーでご覧いただけます。
  Copyright © 2009 Acecook Co.,Ltd. All Rights Reserved.


  第49回 「消費者のためになった広告コンクール」 金賞受賞
  
  For Earth,For Life 〜 株式会社クボタ
  TV-CM 「過去と未来 (eプロジェクト地球小屋)」 篇
  ★コチラを Click ムービーでご覧いただけます。
  Copyright © 2009 Kubota Corporation. All Rights Reserved.


2008年04月02日

Spring has come

御法川です。
すでにカレンダーは4月。 (・・・早い
新年度新生活スタートという方も多いですよね。

『世界はときどき美しい』 は公開から丸一年が経ちました。
渋谷のユーロスペースで公開初日を迎えたのが去年の3月31日。
それから全国13の映画館と、国内外13の映画祭を廻ることができました。

ささやかな成果ではあるけれど、
拡大公開される映画が全国のスクリーンの7割を占める中、
『世界はときどき美しい』 のような 「小さな映画」 が
こうして息長く観客と出会えたことを振り返ると、
感慨深い気持ちでいっぱいになります。

小さな映画と簡単に言ってはみたものの、
こんなチャレンジングな企画に四つの企業が資金を投じ、
事業構造を整えた貴重なビジネス・プロジェクトです。
製作費を回収し、それを再分配するためのファイナンスは、
映画が公開されて一年が経つ今もなお継続中。
一本の映画が生み出されることは、本当に気が遠くなる仕事です。

短くない時間を共有したスタッフや俳優たちの顔はひとつひとつ、
ぼくの心のライブラリーの最も価値あるものとして大切にしまってあります。
配給宣伝に尽力してくれた関係各位に心から感謝するのはもちろん、
この映画をご覧になってくださった観客の方々へ
改めてお礼の気持ちを伝えたいです。

このブログも地道に継続してきた結果、
メモリアル・アルバムのような機能を整えました。
この一年のプロセスは、右サイドバーから振り返ることができます。
ネット上に散らばる情報の中で大切なものは全てリンクを張ってあります。
ぼくがまとめた資料やスクラップ・ブックの山は膨大で、
本棚がひとつ丸々埋まってしまったほどですが、
このブログにアクセスしさえすれば、すぐに大切な情報を導き出せる。

今後、劇場公開の機会が無くなっても、
DVDやオンエア、初夏からはTVオンデマンド配信もスタートします。
さまざまなメディアで、繰り返し、映画は出会いを育んでくれるでしょう。
その中から、映画の成り立ちに興味を持ってくれた方々が、
検索エンジンでこのブログを発見し、目を通してくれる。
この小さな映画が日本映画バブルの網目の中でひっそりと
・・・ いえ、確信を持って進んだ道筋を知ってくれたなら、
とてもうれしいです。

ぼくは今日、36歳の誕生日を迎えました。
まだまだ人間として小僧のハシクレなのは、かねて承知。
それでも、生きられる残り時間を映画に捧げてしまったら、
あっという間でしょう。
一本の映画に五年も携わったぼくの強い実感です。
考えるだけで、くらくらしてしまう。
すでに一生かかっても撮り切れない企画の数々を胸に秘め、
着実に 「映画」 と取り組むしかない。
一本でも多く実現できるように。
身のほどを知り、ハラをくくりました。

・・・そんな気持ちから、このブログもひと区切り。
ひとまず、この場所からはサヨナラです。
心機一転の心構え。

このブログを閉じる前に・・・
昨年暮れに招かれた 「KINOTAYO映画祭」 の記録をまとめます。
映画祭の開催国はフランス。
パリへ出かけたのは、2007年11月16日のこと。

なぜ時季外れのレポートを今になって書くかというと、
『世界はときどき美しい』 を創ることを可能にしてくれた人たちへ、
映画の巣立ちぶりを報告し、捧げたいと思ったからです。

偶然と運命が引き寄せた人たちを結びつけ、
一緒になって仕事をする機会を与えられながら、
国際映画祭に参加できたのは監督ひとり。

確かに体を運んだのは、このぼくなのだけど、
出来上がった映画は今や人格を備えたように自立して、
新たな出会いを生む旅へ勝手に歩みはじめています。
ぼくは映画のお供を、しばし務めただけ。
その気分を少しでも報告できればいいな、と・・・。

個人的な旅の記録にしか受けとめられかねないことを、
ここに記すことに思い上がった印象がないか心配なのだけど、
この映画を大切に想ってくれる人がいたら、
きっと興味を持って読んでくれると信じています。

ともかく、映画は立派に育ってくれたみたいです。

 ◎

KINOTAYO映画祭のKINOTAYOは、「金の太陽」 の読み。
日仏交流150周年記念行事の一環として催され、
07年度の開会セレモニーでは、
桃井かおりさんがプレジデントを務められました。

『あしたの私のつくり方』 (監督:市川準) や
『図鑑に載ってない虫』 (監督:三木聡)、
『ストロベリーショートケイクス』 (監督:矢崎仁司)、
『空中庭園』 (監督:豊田利晃) といった話題作と共に、
現代日本映画の一本として 『世界はときどき美しい』 は招かれ、
パリを中心に5つの劇場で上映されました。

以下、マルセイユの上映に立ち会った旅の記録です。

 南仏プロヴァンス地方の中心都市、マルセイユ。
 パリ〜マルセイユの移動は車で片道10時間の長旅。
 ずっしり重いフィルム缶を積み込んだ車は、
 夜明けのパリを発ち、到着したのは夕方。
 水揚げされた海産物の匂いが町に染み込んでいて、
 生まれ育った伊豆下田の漁港に思いをはせる。

 ホテルの部屋から眺めた黄昏の港。
 ここから地中海へと通じている。
 港を抱くように丘が広がり、町がある。
 『勝手にしやがれ』 のジャン・ポール・ベルモンドは、
 この町で自動車を盗んだことに端を発して、
 刹那の旅をスタートさせたんだった。

 上映会場となった映画館 「レ・ヴァリエテ」。
 5スクリーンを備えたシネコンながら趣をたたえた外観。
 映画館の建物に個性が感じられるのは素敵だ。
 劇場の館内ロビーには気分のいいカフェまであって、
 町の人たちが自由に出入りできる風通しのよさ。


 チケット売場に貼られた、KINOTAYO映画祭のポスター。
 その横に、本日のプログラムを告知する貼り紙が
 ・・・ セカイ ワ トキドキ ウツクシイ。
 世界はときどき美しい。
 英題は、LIFE CAN BE SO WONDERFUL 。


 チケットを求める観客達が列をなす。
 只今、18時開映の15分前。
 マルセイユで日本映画が上映されるのは稀なこと。
 黒沢明監督の名前すら認識されていない地にあって、
 柳沢厚生労働相が 「女性は生む機械」 と失言した
 ニュースは、しっかり伝わっていた。

 マルセイユでの上映は、映画祭のプログラムの中
 から4本を選出して企画されたもの。
 『世界はときどき美しい』 をプッシュしてくれたのが、
 写真のアンヌとアニエス。顔を合わせるなり LOVE
 を連発しながら映画の感想を伝えてくれた。


 この日の上映は、120席全てSOLD OUT
 上映を見守るつもりでいたぼくも席を譲り、
 通訳の小林恵さんと一緒に記念撮影。
 パリの上映時に通訳を務めてくれた錫木類さん共々、
 海外に暮らす個人の行動力と熱意が、
 日本映画を 「世界」 とつないでくれる。

 上映が終了した後に観客からの質問に答えるのは、
 国際映画祭に招かれた監督の重要な仕事。
 この日も30分の時間が用意されての質疑応答。
 タイムアウトになっても質問の挙手が続き、
 劇場ロビーのカフェに場所を移して、更に1時間以上。


海外の映画祭を巡る旅は、07年3月のマイアミからはじまって、
フィラデルフィア、バルセロナ、シンガポール、アテネ、
そしてパリへと続いてきました。

マイアミ国際映画祭での忘れがたいエピソードをひとつ。

上映後の質疑応答を終え、観客を見送っていたぼくの前に、
褐色の肌をした幼い少女が立ち止まった。
聞けば、彼女は13歳。
きゃしゃな体に伏し目がちで、年齢を答えてくれた他は黙ってしまう。
その背中を、傍らに立つお母さんがそっとつつく。
すると彼女は、ぼくと目を合せ、ゆっくり言葉を選んで話しかけてくれた。

「この映画の孤独が、私の中に染み込んでくるようだった・・・」

そう言った後、自分の言葉に照れくさそうにはにかみ、

「でもそれは嫌な感じではなくて、とても嬉しかった」

だから、「ありがとう」 と。

しーんとした眼差しだけがあった。
瞠かれた小さな瞳が小刻みに揺れているのがわかった。
そこに、ぼくが映っていた。
こんな光景を、いつかどこかで経験していたような、
宙に浮くような気分にとらわれて一瞬戸惑ったのだけど、
すぐに思い至った。
ぼくもかつて、こんな風に心細げな震える瞳をしていたことに。

ふだんは気恥ずかしくて言葉にできないような感情も、
ひとたび 「映画」 を介すれば、交換できる。

心はグラデーションになっていて、
マグマが煮えたぎるような部分から、きよらかに澄みきった部分まで
濃淡の層になっている。
ハートの重心は、その振幅の中で揺れ続けるばかり。
その複雑な 「ひとり」 を、しなやかに受けとめることができたら、
孤独であることはみじめなことではないし、
避けるべき否定的なことでもないはず。
喜びも、流す涙も、わずらわしい喜怒哀楽の変化も、
だんだんに自分という存在を準備し、作り上げていくプロセスだ。
そうして確かめられた大切なところだけを、誰かにプレゼントする。
・・・できたら、と思う。
いつか。

話は、KINOTAYO映画祭に戻ります。

観客投票による栄えある新人監督賞を受賞したのは、
『ヨコハマメリー』 の中村高寛監督。
中村さんとはマイアミ国際映画祭での時間を供にして以来、
交流を深めさせていただいている間がら。
『世界はときどき美しい』 の公開時には力強い応援を受けました。
顔を合わせる機会は少ないけれど、
ぼくの数少ない友人と呼べる大切なひとり。
彼は現在、物議をかもしているドキュメンタリー映画の
公開を実現するために尽力しているところ。
無責任な応援は逆に失礼かもしれないけど、がんばれ
負けないでください。

観客賞を受賞したのは坪川拓史監督の 『アリア』。
未だ日本未公開の作品。
一日も早くスクリーンにたどり着ける日を願っています。

そして、ぼくは・・・
映画祭や公開初日に立ち会った映画館で、
帰路につく別れの場で必ず投げかけていただいた言葉を、
心の中で反芻しています。
「次の映画を持って、また来てください

このブログへ訪れてくれた人たちへ。
ありがとうございます。
心から。

posted by seka-toki at 00:39 | 御法川修より

2008年03月16日

コーヒーの不思議

御法川です。
監視つきカンヅメ脚本書きも佳境に入って、
ほっと息をつけるのは近所のスターバックスに出かけるときだけ。
タンブラーを持参することを覚えてから、よく通っています。

コーヒーは不思議です。
ほんとうに。

コーヒーは、コーヒーを飲むということだけが全てでなくて、
コーヒーを飲みながら、きっと何かをしている。
というより、コーヒーを飲みながらする何かのために、
コーヒーという飲み物は必要なのかもしれない。
たとえば、話をするために。
うなずいたり、笑ったりするために。
ときには、誰かを待つために。
あるいは、何もしないということをするためにさえ。

今日のようにいい天気の日なら、
歩きながらタンブラーのフタを開けてしまう。
開けてしまったら、ついつい飲み口に唇を運んでしまう。

歩きながら、飲む。

飲みながら歩くぼくの肌に射す陽の光も道を歩む。
日陰から陽だまりへ。

風が吹きぬけて鼻先をすべってゆく。
日陰から陽だまりへ。

猫は陽の光が集まる場所を知りぬいている。
日陰から陽だまりへ。

春なんですね。

◆付記
『アヒルと鴨のコインロッカー』 (中村義洋監督) での演技が評価され、
第22回 高崎映画祭の最優秀助演男優賞を受賞した松田龍平殿!!
おめでとう。
心から。

松田龍平の存在は、
不毛な環境で量産される 「日本映画」 に抗って咲く強い花だ。

同映画祭が 『サッド ヴァケイション』 の石田えりさんに
最優秀主演女優賞を贈られたその見識にも深く共鳴します。
女優細胞を震わせる石田えりさんの凄みと美しさは、
もっともっと讃えられるべき貴重なお仕事だったはず。

ちなみに・・・
『世界はときどき美しい』 も同映画祭で上映されます。
「若手監督の現在 (いま)」 と題されたプログラムに組んでいただけたこと、
これからの励みにしたいと思います。
posted by seka-toki at 05:19 | 御法川修より

2008年03月08日

シネマ夢倶楽部

御法川です。
寒さもゆるんできたように感じて薄着で出かけたら、
ひょう混じりの雨に降られてしまいました。
只今びしょ濡れの服を乾かしているところ。
この不安定な気候を通りぬけると、春なんでしょうね。
近所の遊歩道には梅が咲いています。

そんな中、いちばん嬉しかった報せ。
昨年7月に 『世界はときどき美しい』 を招いてくれた福岡アジア映画祭。
今年で開催22年目を迎える長い歴史と実績、
その運営を有志の力だけで推進してきた地道な取り組みが讃えられ、
(財)日本ファッション協会が主催する 「シネマ夢倶楽部」 において
「シネマ文化賞」 を受賞されました。

映画祭実行委員長の前田秀一郎さん、今村ミヨさん。
おめでとうございます。

映画祭の運営に尽力する有志の方々にとっては、
大きな励みと誇りになったはずです。
そして、この映画祭に招かれた多くの映画人にとっても。

あの日・・・
福岡アジア映画祭には片山瞳と一緒に招かれたのでした。
上映に立ち会ったあとは近くの宴席へ移動し、
『王の男』 のイ・ジュンイク監督らと共に乾杯。
日本語しか駆使できないぼくではありましたが、
福岡にいながらアジアの大きな十字路に立っているイメージを
くっきり強く照らし出されたひと時でした。

大きく普遍的なものと、小さくても具体的なもの。
そのふたつを絶えず共振させられたなら、
ぼくらが今生きる場所は世界の真っただ中だと知覚できるはず。

あんなに降っていた雨はもうやんでいる。
朝は地球の裏側で、
いま見えるのは、ただの当り前の夜空です。

天神経済新聞
過去ログ

◆付記
このブログにコンタクトしてくださった方々のメール、
ぼくから返信を怠ったままになっていますが、
確かに拝読しております。

映画の感想を伝えようとしてくれた皆さんの行動に、
尊敬と感謝の気持ちでいっぱいです。
ぼくのような、かぼそい仕事を続けるものには、
寄せられた声が心の支えになっています。

公開から一年が経とうというのに、
今も多くの人たちが 『世界はときどき美しい』 と
出会ってくれているのですね。
うれしい。
posted by seka-toki at 03:32 | 御法川修より

2008年02月14日

鈴木杏さん

御法川です。
もう一か月以上、このブログから離れていました。

このところ、明けても暮れても脚本を書き続ける日々。
書く以外の時間は、食べて寝るだけ。
井戸の底につるべを下ろして、
「映画」 という水を少しづつ汲み上げています。

いくつかの企画が並行して進んでいるものだから、
脳細胞はミラクルに伸縮を繰り返して忙しい。
それだけでじゅうぶん刺激的な毎日なのに、
映画の企画段階というのは収入から見放されるため、
暮らしのサバイバルまで強いられて、
ついついブログに向かう気力を奪われておりました。
お恥ずかしい。

そんなところに届いた一冊の女性誌。


  FRaU (フラウ)
  08年3月号
  講談社
  定価¥500-



「FRaU」 が注目するアーティストやオピニオンリーダーが、
お薦めの映画を紹介する連載 「女のスパイシーシネマ」。

 今月号に登場するのは、女優の鈴木杏さん。
 セレクトした映画から導き出された色のイメージと、
 杏さんの心象風景が語られています。
 その中に 『世界はときどき美しい』 のことが!!
 「緑 = ふと、浄化される感覚」
 というコメントを添えて紹介してくれました。

こんな風に観てもらえていたことに、強く励まされます。
歯を食いしばりながら、
なんとか自分をふるい立たせようとしている時だから
なおさら嬉しい。
鈴木杏さん、ありがとうございます。

TSUTAYA店頭の 「GIRL’S STYLE」 コーナーでも紹介されています。
そちらでも是非チェック&レンタルしてみてください!!

◆付記
市川崑監督の訃報を知りました。
ご冥福をお祈り申し上げます。
ああ、星が落ちた ・・・ という
静かな悲しみがあります。
posted by seka-toki at 05:54 | 御法川修より

2008年01月07日

100人の子供たちが列車を待っている

御法川です。
お正月気分を脱して、今日から平常通り。
本格的な一年のスタートですね。

さて、ひとつご紹介を。

現在発売中の 「エスクァイア 日本版」 (08年2月号)。
巻頭特集の 「進化する、映画 × リアリティ。」 は、とても興味深い記事ばかり。
この誌面で紹介された映画を集めたイベント上映がはじまっています。

中でもお薦めなのが、『100人の子供たちが列車を待っている』。
88年にチリで製作された一時間足らずの中編ドキュメンタリー。



 監督◎イグナシオ・アグエロ
 出演◎アリシア・ベガ、チリの子供たち
 配給◎パンドラ
 1989年/チリ/カラー/58分
 Copyright © PANDORA Corp.All Rights Reserved.



ぼくの今年最初の映画は、コレに決定
上映の機会が少ない映画です。
ぼくは16年ぶりの再見。
我ながら律儀につけている映画日記をひも解くと、
ぼくは92年3月15日に京成町屋文化センターで、この映画を観ている。

この映画は、軍圧政下にあったチリの貧しい村が舞台。
暮らしを助けるために働かなくてはいけない子供たちは、
今まで一度も映画を観たことがない という。
そんな子供たちを集めて、映画教室を開く女性教師がいた。
映画を見せ、映画の歴史を教え、
子供たち自ら映画を創造する実践へと進む。

映画を学ぶ子供たちの姿があまりにも無邪気で、
眺めているコチラは手前勝手にやさしい気持ちに包まれてしまう。
でも、うっとりしている場合じゃないよ。
これは決してヤワな映画じゃないから。

人は 「映画」 がなくても十分に生きていけるかもしれない。
貧困にあえぐ現実の前ではなおさらだろう。
でも、「映画」 を手にできたことで、
人はどれだけの力を得られるのか!!

だれかに 「たかが映画じゃないか」 などと言われると、
お人好しに 「そうかもしれない」 と思ってみたりする。
けれど、どうして 「たかが」 なんて言えるだろう。
「たかが」 という言葉の使い方は気をつけておいた方がいい。
もし 「たかが」 なんて言ったら、「映画」 はなかっただろう。

「たかが自分の人生」 なんてモノ言いは、
自分を卑下するばかりでなく、
自分と関わるたいせつな人を侮辱しているのと同じ。
ぼくは怒るよ。

真摯な表情とは、この映画の子供たちのそれを言うのでしょう。
気をつけないと、あまりのまぶしさに目をつぶされますよ。

posted by seka-toki at 03:28 | 御法川修より

2008年01月03日

大吉!

御法川です。
初詣で引いたおみくじは、タイトルの通り。
うれしい

元旦の朝早く。
ぼくは目覚め、起きた。
窓の外は、まだ暗かった。
素足で冷たい床に触れたら、
急に小便がしたくなった。
腕を上げ、背伸びをしながら
一番電車が通過する音を聞いた。

顔を洗った。
水は光でできている気がした。
首にマフラーを巻いて、外へ。
外は寒かった。
自転車を手放し運転しながら、
人気のない町を走った。
自販機でタバコを買い、
すぐに封を切った。

かすかな日ざしの暖かさを頬に感じて、
太陽が昇るのを感じた。
誰かさんはまだ布団の中で眠ってる。
公園ではブランコが風に揺れてる。
見たわけではないけど、そう感じた。

歌のようにわいてくる風景を、
心がぼうっと眺めていた。

今年は平成20年で、ねずみ年。
干支のトップに戻り、ぼくは年男。
・・・ どんな一年にすることができるだろう!!

◆追伸
このブログへ訪れてくれた皆さんにとって、
幸多き年であることを祈ります。
心より。
posted by seka-toki at 08:58 | 御法川修より

2007年12月31日

そして船は行く

御法川です。
今日で2007年は終わり。
明日から新たな一年がスタート。

ぼくは年末ぎりぎりでドキュメンタリーを仕上げました。
3年がかりで取り組んできたプロジェクト。
最後の作業の追い込みでは、
与えられた時間の1分1秒まで使い果たしたつもりだったけれど、
ぼんやりして何かはっきりしない手ごたえしか残りません。
・・・いつだってそう。
こんな風に、やりきれない気持ちを少しだけ残しながら、
次へと進んで行くしかないのでしょう。
ぼくは。

そして、日常 (ふね) は行く ・・・
新しい映画に向かって。

ぼくにとっての2007年が一冊の本だとしたら、
物語の最初と最後のページは 『世界はときどき美しい』。
この一冊は、ぼくの本棚の一番たいせつな場所に納められました。
ぼくが閉じたページを、これからも誰かが開いてめくり、
新しい物語として何遍でも反芻してくれることを期待しています。

◆追伸
1月1日は鈴木慶江さんのお誕生日。
新年を迎える時のきれいな気持が世界中から集まって、
慶江さんを祝福しているみたい。
おめでとう。

そして、今日の最後に。
このブログを見守ってくれた方々へ。

ありがとう。
五つのひらがなを組み合わせて、
この気持ちを伝えようとした人って本当にスゴイ
みなさん、ありがとう。
心から。
posted by seka-toki at 19:55 | 御法川修より

2007年11月25日

TAMA CINEMA FORUM

御法川です。
すっかり御無沙汰をしてしまいました。
僕は元気にやっています。

先月末からドキュメンタリーの撮影に取り組んでいます。
その合間をぬって、先週はパリの 「KINOTAYO映画祭」 に参加。
三泊だけの短い滞在でしたが、
パリとマルセイユでの上映に立ち会うことができました。

あいにく交通機関がストライキの時期に当たってしまい、
パリ 〜 マルセイユの移動は車で片道10時間の長旅。
せっかくのホテルも寝るだけ。
映画館にいる時間と車に乗っている時間ばかりで、
美術館を巡るどころか街をうろつく余裕もありませんでした。
とはいえ、フランスの観客と出会えたことは大きな収穫。
詳しい話は改めて書いてみたいと思います。

さて、お報せです。

今年で17回目を迎える 「TAMA CINEMA FORUM」 での上映は本日!!
ぼくは撮影中なので会場へうかがうことができませんが、
松田美由紀さんと西健二郎プロデューサー、
お二人のトークショーが行われます。
併せて、松田龍平さんと市川実日子さんが作品への想いを語った
インタビュークリップを特別上映
三連休最後の日曜日、お誘い合わせの上、是非

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 11月25日(日)
 Life of Cinema 〜 そして世界は美しい 〜 オムニバス映画の魅力
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 14:20〜15:30 『世界はときどき美しい
 15:45〜16:15 トーク・ゲスト 松田美由紀さん & 西健二郎プロデューサー


◆追伸
12月14日(金)から 「滋賀会館シネマホール」 での上映が決まりました。
すでにDVDがリリースされた後だというのに、
こうして映画館での上映が息長く続けられるなんて、
驚くと共に喜んでいます。
本当にうれしい。
posted by seka-toki at 01:56 | 御法川修より

2007年10月18日

シンプルな行動

御法川です。
ぼくの友人が韓国へ旅立つというので見送ってきたところ。
彼女は、ぼくと同い年。
生まれた星座も血液型も一緒。
ついでに身長も同じくらい。
とにかく料理が上手。
その腕前を活かして、韓国で和風居酒屋を開店するんだという。

決断された行動は、いつだってシンプルに見えるものです。
水面下に、どれだけの迷いがあったとしても。
なにがあったんだろう。
なにが、どう彼女に働きかけたんだろう。
そして、その呼びかけに応える時の覚悟は、きっと厳しかったに違いない。
・・・それでも
シンプルに見える行動には、必ずユーモアと喜びが伴う。
ユーモアと喜びを感じさせられるかが、
シンプルであることのあかし。

実際に彼女のユーモアのセンスは抜群。
韓国で和風居酒屋を開店?
突拍子もない告白を受けた仲間達は、だいぶ楽しませてもらいました。
ぼくらが笑っている間に、彼女は住居を引き払い、
あっという間に韓国での話をまとめてしまったのだから驚き。

ぼくも彼女も35歳。
いいおとなです。
自分以外の誰かに、喜びを伝えられるおとなになりたいものです。
そのためには、まず喜べる人にならなきゃいけない。
食事の一品に、あるいは映画の中に、
喜びをこそ見出すべきじゃないか・・・、
そのことをずっと思ってきました。

まだまだ人間としてはブサイクなところがあっても、
今日まで地道に培ってきた技術を駆使して、
たいせつなところだけを誰かにプレゼントする。
彼女は料理で。
ぼくは映画で。

かけがえのない一個のメロディを歌う彼女がいて、
その横で別なメロディを歌うぼくがいる。
それが絡み合ってひとつの音楽になる、
そんな世界観を思いながら、
東京と韓国で、
それぞれ共にがんばりたいものです。

彼女の門出に幸多かれ。
posted by seka-toki at 04:19 | 御法川修より

2007年10月14日

二度生きる

御法川です。
打合せが続いているので、
こうして明け方に昨日を振り返ると
本当によく喋っている自分に気づきます。

まだ形を整えていないことに言葉で輪郭を与え、
それが人に伝わるかどうか、いろいろと試みる。
相手の受け応えによって自分の想いが輝きを増すこともあれば、
うまく伝わらないもどかしさから、話に彩りを添えたり、
言葉を変えてみたり。

言いなおし、語りなおす。

思わぬ話の脱線が驚きを生んでくれることもあれば、
何気なく口に出てしまったことを後から後悔したりすることも。

ともあれ、
話す中で見出された材料は、新しい道を開いてくれる。
具体的な行動に出る前のウォームアップになります。

そうして、話すことから書くことへ。

自分の中を通り過ぎたことを書き留めるのは、
人生を二度生きる手段のような気がしています。

五感によって蓄えられた感覚を見直し、繰り返す。
ハッと霊感のこもった息をのんだ時、ぼくはメモを残します。
人前だと照れくさいので、
ひとりになった時に手近な紙に書き留めておく。
大抵はキーワードを並べただけの走り書き。
それを後から反芻して整理する。

映画のネタにしようとは考えていませんが、
「まるで映画みたい」 と形容したいような出来事って
けっこう多いものです。

この一週間くらいのメモのいくつかを、
以下に整理してみます。
自分のためのノートでしかありませんが、
その時のぼくの気分を面白がってくれたら嬉しいです。

 ◎

待合わせで入った喫茶店にて。
喫茶店というより、昔ながらの 「茶房」 といった雰囲気の店内。
初老のマスター、ひとり。
店内BGMはジャズ。
レコードが詰まった棚を探りながらフレーズを口ずさむマスター。
ジャケットを一枚ぬき出して、盤面に針を落とす。
マスターの口ずさんでいたフレーズと、
レコードの滑り出しが同じなことに気づいて、
ぼくの耳はダンボの耳に。
マスターの中では先に音楽が鳴っている。
口ずさみながらジャケットを探るマスターの風情が粋で、
クサイほどに映画的なのでした。

 ◎

別れ際、一生懸命に手を振る人。
街の中で、あんまり大きく手を振られると、
なんだか恥ずかしい。
・・・けど、子供のころ。
友達どうし誰もがあんな風にバイバイしあったものだ、
と思い返す。

 ◎

笑い方。
笑った時のほっぺのシワ。
人の表情が動く、その一瞬に惹かれて、
その人を受け入れてしまう不思議。
そういう、言葉が不要な領域では、
怒った顔を好きだという人がいてもおかしくない。
でも、やっぱり笑顔だろうな。
隠すことができない、その人の “さま” を目の当たりにして、
人は人を信じたり、愛したり、嫌ったりするんだろう。

 ◎

横断歩道にて。
風が強く、ライターの火が泳いでしまうので、
ぼくの背中を風よけにして煙草に火をつける人がいた。
けしからん。
でも、今度ぼくもやってみよう。
人の背中も役立つのです。

 ◎

友人達の会話。
メソメソしたA君の愚痴話に場の空気が重くなり、
堪りかねたB君が突如声を荒げる。

B君 「おまえトグロ巻いてんじゃねえよ

一瞬の沈黙があって・・・

A君 「それを言うならクダでしょ、クダ」
B君 「クダ巻いてんじゃねえよ」 と、更に爆発。

みんな大爆笑。

 ◎

先週は東京 〜 ソウル 〜 東京 〜 ロスアンゼルスを
駆け足で巡っていまして、
まだ時差に悩まされています。 歳でしょうか?
以前はそんなにつらくなかったはずなのに。
西に向かって飛ぶのはそんなにつらくないのですが、
東に向かうと時差がきついですね。
人間は地球の自転より速いスピードで進んではいけない、
ということなのかもしれません。
(受信メールより抜粋)

 ◎

ぼくの仕事場の前に立っている自販機。
缶コーヒーの半分がホットになっていた。
いつのまにやら知らぬまに。
都市の季節感。

 ◎

感性に技術をつける。


・・・と、まあ、こんな感じ。
これらのささいな記憶が、皮膚の内側に沁み込んで、
自分の中でまだ未使用な感覚を目覚めさせてくれることも
あるのです。

書くことは、忘れないために。
この日々を、思い出にしてしまわないために。
実人生に活かすために。
書く。
posted by seka-toki at 07:23 | 御法川修より
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