Welcome  ◎過去ログは、この記事の下に表示されます。

   このブログは、映画 『世界はときどき美しい』 の御法川修監督と、
  女優デビューを飾った片山瞳さんの交換ブログとしてスタートしました。
  映画は、第19回 東京国際映画祭でお披露目されたのち、
  2007年3月31日に渋谷ユーロスペースで封切られました。
  以後、順次全国で公開された他、国内外13の映画祭でも上映。
  現在はDVDが発売&レンタル中です。

  日本映画バブルの渦の中で公開された、小さな小さな一本ですが、
  製作に携わった私たちにとっては、かけがえのない大切な作品です。
  振り返れば、最初は行き先の不安な船出でした。
  ゆっくり一年をかけて、思いがけないほど多くの観客に恵まれた今は、
  映画のタイトルを口にして、その響きに深く頷いてしまいます。

  このブログは、私たちの映画が歩んだ一年間の軌跡です。
  右サイドバーに整理された情報は、メモリアルアルバムのような趣き。
  劇場へ足を運んでくださった方、DVDで新たに映画と出会ってくれた方、
  これからも多くの人たちが、このブログを訪ねてくれることでしょう。
  この映画が、それぞれの暮らしの中で育まれることを祈っています。
  これからもずっとずっと。  (2008年5月21日掲載)



  News Release  ◎過去ログは、この記事の下に表示されます。

  ◆御法川修監督の最新作が2作品同時に始動!!
      sankeiwest.gif
   Irodori_Rogo-A.jpg
   出演◎吉行和子/富司純子/中尾ミエ/藤 竜也
        平岡祐太/村川絵梨/戸次重幸
   主題歌◎原 由子 「ヘブン」   配給◎ショウゲート
   脚本◎西口典子  監督◎御法川 修
   2012年秋、シネスイッチ銀座 他 全国公開
   Copyright © 2012 「人生、いろどり」 製作委員会

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   映画 『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』
   主演◎柴咲コウ/真木よう子/寺島しのぶ
   原作◎益田ミリ (幻冬舎刊)
   脚本◎田中幸子  監督◎御法川 修
   配給◎スールキートス  2013年、全国公開

   Copyright © 2012 「すーちゃん まいちゃん さわ子さん」 製作委員会
   (2012年4月15日掲載)


  ◆片山瞳さんの最新作は、映画 『海燕ホテルブルー』 のヒロイン
   第60回ベルリン国際映画祭で銀熊賞 (最優秀女優賞) を受賞した
   寺島しのぶさん主演作 『キャタピラー』 など話題作を次々発表している
   鬼才若松孝二監督の最新作で、片山瞳さんがヒロインに抜擢
   直木賞作家船戸与一氏による同名小説の映画化。
   下のバナーを Click 予告編をご覧いただけます。
   (2011年10月28日掲載)
   


  ◆御法川修監督が手がけたコーポレート映像が受賞
   美容サロン用ヘア化粧品の総合メーカーとして国内トップを誇る
   (株)ミルボンの創業50周年記念映像を御法川監督が演出しました。
   片山瞳さんも特別出演されています。
   記念式典で一度限り上映される作品として完成したのですが、
   映像文化製作者連盟が主催する映像祭 「映文連アワード2010」 の
   大賞に当たる経済産業大臣賞を受賞しました。
   (2010年9月30日掲載)

   


 ◆『SOUL RED 松田優作』 (監督御法川修)
  生誕60年没後20年のメモリアルとして、
  最初で最後の公式ドキュメンタリー映画が誕生
  今なお人々の心に生き続ける男の軌跡。

  ★DVD発売中 ★ORICON TOP
  第22回 東京国際映画祭 特別招待作品
  Copyright © 2009 SOUL RED Film Partners 


◆御法川修監督が手がけたテレビCM が好評オンエア中
  映画界の豪華スタッフが顔をそろえ、贅沢な仕上がりになっています。
  是非ご覧になってください。
  (2009年3月1日掲載)

 

  スープで食べる、野菜のおいしく新しいカタチ 「ベジさめ」 新発売
  TV-CM 「モノクローム」 篇 Starring 加藤ローサ
  ★コチラを Click ムービーでご覧いただけます。
  Copyright © 2009 Acecook Co.,Ltd. All Rights Reserved.


  第49回 「消費者のためになった広告コンクール」 金賞受賞
  
  For Earth,For Life 〜 株式会社クボタ
  TV-CM 「過去と未来 (eプロジェクト地球小屋)」 篇
  ★コチラを Click ムービーでご覧いただけます。
  Copyright © 2009 Kubota Corporation. All Rights Reserved.


2007年08月08日

DVDリリース!!

片山瞳さま

御法川です。
日ざしの強烈さに、ものみな燃えるような熱気を感じる今日このごろ。
しばらく顔を見ていませんが、元気ですよね。
(・・・と、暑中見舞い風に)

横浜の上映は、ぶじ終了。
上映最終日のコトの次第は、ヨコハマ宣伝部・行動隊長をつとめた
草野康太が敬愛する写真家・横木安良夫さんのブログの方で
(横木さん、ありがとうございました)

横木さんの新刊 「ベトナムGXトラベラー」。
ひとつの道をきわめた人の経験が、
読者に向けて開かれた“継承”の書。
カメラを手にして街へ、世界へ飛び出したい
そう思わせ、それが決して難しいことではない
と感じさせるのは、優れた技術者の 「技」。
本物のプロフェッショナルの体験談や技術論は、
読むものにコミュニケーションへの衝動をうながす。
人との、世界との、カメラとのコミュニケーション。

この一冊から “なにを” 切り開けるかは、その人しだい。
お薦めです。

さて、『世界はときどき美しい』。
まだまだスクリーンでの上映は続くわけですが・・・
出ます DVDが!!
8月25日(土)発売です。

一本の映画を個人が所有できる 「DVD」 というメディアは、
映画を好きな人にとって今や欠かせないもの。
劇場で観る映画体験と、はなから違う映画体験になることを念頭において、
収録内容はもちろん、メニュー画面の構成やパッケージの隅々まで
手を尽くした一枚になっています。
すでに劇場でご覧になり、『世界はときどき美しい』 のことを、
たいせつに想ってくださった方には特に 手もとに置いてほしい一枚。
(・・・2枚組みですけど)


◎世界はときどき美しい
  Pure Edition - ピュア・エディション
  豪華2枚組み
  ¥3,990- (税込)

  封入特典
  特製ポエムカード

 特典映像60分
 ◎キャスト・インタビュークリップ
 ◎東京国際映画祭での舞台挨拶 & レッドカーペット・アライバル
 ◎完成披露試写会での舞台挨拶
 ◎バルセロナ・アジア映画祭のビデオノート
 ◎メモワール 「ひとつの映画が創られるということ」
 ◎劇場予告篇
 ◎特典ディスクには、2つの Hidden Features (隠しメニュー) があります。

  ◎予告篇を観る (WMP) 予告篇を観る
  ◎販売元GPミュージアムソフト



2枚のディスクには、
それぞれ 「LIFE」 「MEMORY」 と名前がつけられていて、
その盤面に手を触れたところからDVD体験がはじまるはず。
・・・というか、そうあってほしい と願ってデザインされています。
書物でいえば、表紙をめくり、扉で手をとめて本文への期待を膨らませる瞬間。
メニュー画面は、“前書き” の気分。
そんな、あれやこれやの想いと期待を込めながら制作したんです。
いろいろこだわったところが満載なので、この話題は引き続き次回も。
posted by seka-toki at 11:17 | 御法川修より

2007年08月02日

ココが現在地

御法川です。
前回に引き続き、ぼくから公開情報を

ここ連日、横浜・黄金町の日々。
サウナに泊まり、朝一の電車で都心へ戻る暮らし。
というのも 「シネマ・ジャック&ベティ」 の観客動員が苦戦しているため。

たとえ観客の数が少なくても、
劇場へ足を運んでくださった方々のエネルギーに優劣などありません。
確かな想像の磁場が築かれていることを信じています。
・・・が
ささやかながら、これまでの栄光を思うと、さびしい光景なんです、
横浜は。

東京8週ロングラン、関西圏でも1,000人の動員を超え、
現在公開中の広島 「横川シネマ」 でも好調な記録を更新している中、
華々しく首都圏凱旋 といった気分だったはずの横浜・・・。

しばらく閉館していた事情もあって、
駅の交番で映画館の場所をたずねた人への警察官の返答が
「あの映画館はツブレたよ」 だったとか。
違う映画館を教えられたという声もあり。
笑いながら、トホホと泣けてきます。

言っておきますが、「シネマ・ジャック&ベティ」 は健在なり。
このことを、ともかく地もとの人たちに知ってほしい。
本当に
あの 「横浜日劇」 はさら地になってしまいましたが、
その目の前の映画館は大丈夫。
今日も元気にやっていますよ
ココが現在地です。

劇場の空席がさびしくても、
前向き全力疾走なのは我が同士、草野康太
自分が育った街への想いが駆り立てるのでしょう。
映画の宣伝ではなくて、「映画館」 の宣伝に奔走しています。
俳優にチラシ配りなんてさせられない、といった
ぼくの心配を笑い飛ばすように、しっかりというか・・・ちゃっかり
街に溶け込んでいます。 (笑)
さすが です。
おかげで、ぼくも横浜の友人がたくさん増えた。

その草野康太、
勝手に自分の出会いを発展させて、なにやらはじめたようです。

 ◎草野康太 exhibition
   landmark 〜 写真と詩の壁
   ヨコハマGXトラベラー on 黄金町

 
 【会 期】 8月3日(金) まで 連日12時 〜 夜8時30分
 【場 所】 黄金町プロジェクトGallery&Community スペース
       TEL 045-243-9800


彼のブログで展開している写真と詩が、
かつて黄金町に軒を連ねた特殊飲食店 (つまりは売春宿、ちょんの間) 跡
である空き店舗の壁を飾っています。
ハマの潮風がめぐりくる大岡川沿いを散策しながら、
あるいは映画鑑賞の前に、ふらりと立ち寄ってみてください。
きっと彼、口ぶえでも吹きながら通りを眺めているんだろうな。
映画館からは徒歩3分の場所。
黄金町駅からは徒歩1分です。
是非

さて、そんな横浜上映も今週8月3日(金)まで。
最終日は、ぼくの最新作となるドキュメンタリー 『色彩の記憶』 を同時上映
先日トークショーをご一緒した 「ヨコハマメリー」 の中村高寛監督から
褒めてもらえたのはうれしかったな。
作品の詳細は、前のブログに書きましたので、是非コチラ

この作品の語りべとなる馬場九洲夫 (ばば・くすお) さんから、
当日お集まりいただいた観客の方々へプレゼントをお預かりしました。
辰砂(しんしゃ)の 「ぐい呑み」 を。

 辰砂とは、このルビーのような真紅のこと。
 辰砂の焼物は、初代・馬場真右ェ門と共に
 「真ェ門窯」 の地歩を築いてきた九洲夫さん
 が取り入れたもの。
 うわぐすりの発色が、これだけの精神性を
 たたえるまでに、九洲夫さんは30年を越える
 時間を費やしてきたのです。
 作品をご覧になってくださった方なら間違いなく、
 この小さな器の色彩に、宇宙を感じてくれるはず。
こんな素晴らしいプレゼントができることになり、ぼくも喜んでいます。
(真ェ門窯の皆さまと、馬場九洲夫さんに感謝を申し上げます)

プレゼントは、当日抽選で3名の方に。
九洲夫さんの気持ちを引き継いで、ぼくの手から皆さんのてのひらへ。
posted by seka-toki at 00:45 | 御法川修より

2007年07月26日

思い浮かべる顔たち

御法川です。
宣伝担当に代わって公開情報のお報せ。
『世界はときどき美しい』 は、ただ今 「横浜」 と 「神戸」 で公開中。

横浜 「シネマ・ジャック&ベティ」 では、
松田龍平さん&市川実日子さんが本作への想いを語った
インタビュークリップを上映期間中、本編と併せて同時上映
イベント詳細 (PDF)

東京にお住まいの方も是非
渋谷から「東急東横線」の急行に乗れば30分で横浜。
「横浜駅」から「黄金町駅」へは京急に乗り換えて5分。
渋谷を19:30までに出れば、上映開始によゆうで間に合います。
くれぐれも黄金町で迷わないでくださいね。


 連日レイトショー 20:45から 一回上映
 終映22:00 / イベント時は22:30終映


上映期間中の毎週金曜日には、
ぼくの最新作となるドキュメンタリー作品を特別上映

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 7月27日・8月03日(共に金曜日) 特別上映 『色彩の記憶』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  JPPA AWARDS 2007
  ゴールド賞 受賞作品

 Credit
 企画・製作◎ミルボン
 プロデュース◎ケイビープランニングインターナショナル
 制作プロダクション◎ポルケ
 監督◎御法川修 撮影◎池田俊己 照明◎北井哲男
 音響◎高木創 音楽◎深草アキ(オーマガトキ)
 2007年 / 日本 / カラー / ビデオ作品 / 30分


 有田焼の新しい風、陶工馬場九洲夫の創作を通し、
 手仕事の意味を問う本作は、もうひとつの 『世界はときどき美しい』。
 昨年、東京国際映画祭の前日まで有田ロケに取り組んでいました。
 日本の文化遺産を記録する屈強な撮影クルーとの初めての仕事。
 中国古来の弦楽器、秦琴 (しんきん) を奏でる深草アキさんの音楽と、
 高木創 (「ゲド戦記」) の色を塗り重ねるような音響世界。
 そして、なにをおいても被写体である馬場九洲夫さんのお人柄と魂、
 その創造の美しさ。
 すべてが、幸福な記憶として残っています。

 『世界はときどき美しい』 をたいせつに想ってくれた方々には、
 是非ご覧になってほしい自信作
 一般劇場では初公開となる貴重な機会です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 7月28日(土) 監督トークショー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 【ゲスト】 御法川修 × 中村高寛さん (映画 「ヨコハマメリー」 監督)

ドキュメンタリー映画としては異例の大ヒット
となった 「ヨコハマメリー」 の中村高寛監督
を招いてのトークショーを開催
中村監督はヨコハマ映画祭・新人監督賞や
文化庁映画賞など受賞ラッシュが続く時の人。
それぞれの映画に取り組む同世代監督、
この異色?な組合せ。
どんな話題が展開するのでしょう



さて、「神戸アートビレッジセンター」 での上映は、明日7月27日まで
一週間と短い上映期間でしたが、関西上映の終点として、
だいじな観客の皆さんと映画をシッカリつないでいただけました。
(樋野さん、そしてシアタースタッフの皆さん、ありがとう)

神戸の次は、広島。
7月28日(土)から 「横川シネマ」 での上映がスタート

七夕の日に開催された広島先行上映の熱がジワジワと浸透中。
すでに中国新聞 (7/22) に取材記事が掲載されました。
その中国新聞・朝刊に明日おり込まれるフリーペーパー 「Cue」。
すでに発売中の地元タウン誌 「Wink 広島」 8月号。
それぞれに、ぼくのインタビュー記事が掲載されています。
誌面には、ライターの表記はありませんが、「Cue」 の宮迫佳代さん、
「Wink」 の吉田藍子さん。
ふたりの “伝えたい” 気持ちがしっかり反映された、すてきな記事です。
この記事を読んで映画館へ足を運んでくれる人たちが生まれることを、
ぼくを信じています。
きっと

映画の後には食事を。あるいは、ゆっくりお茶でも。
ぼくならお酒だな。
「CAFE ネコバコ」 は、広島のたいせつな情報発信&交流基地。
場所をご存じない方は、横川シネマの支配人に尋ねてください。
劇場の受付と映写室を行ったり来たりして汗だくになっている男性が
支配人の溝口徹さんです。
すぐわかります。
支配人室のソファにもたれながら葉巻をくゆらせたりできないところが、
がんばる映画館のことわり。
世の常なのです。
ガンバレ 横川シネマ!!

ぼくは東京にいながら、
さまざまな地で日々励む 「顔」 を思い浮かべることができます。
誰とも代わりのきかない、それぞれの役割をまっとうする人たち。
映画館をめぐる旅で出会えた、ぼくのたいせつな 「顔」 たち。
いまどうしてるんだろう・・・と思うだけで、励みになっています。

◆追伸
片山瞳殿。
お父様からお中元を頂戴してしまいました。
ぼくも偉くなったもんだ。 (・・・恐縮です)
見るからに美味しそうな吟醸酒だったので、
プロデューサーの西さんと飲ませていただくことにしました。
我がプロデューサーは立派な酒飲みですので、
ぼくなんかより味わうことができるでしょう。

ご家族によろしくお伝えください。
こんな場で失礼だけど、
きっとあなたのお母さんも読んでくれているだろうから。
posted by seka-toki at 13:21 | 御法川修より

2007年07月25日

女たち!

片山瞳さま

御法川です。
横浜 「シネマ・ジャック&ベティ」 の初日舞台挨拶。
当日のようすはコウちゃん (草野康太) から聞きました。
映画のために、ありがとう。

あなたには、これまで何度も時間を割いてもらってきました。
それもこれも 『世界はときどき美しい』 のせい。
たった一本の映画から、なかなか手が離れませんね。
解放されない。
ぼくもちょっと気をぬくと、
回復されるあてのない疲労がかさんできます。

ネガティブな思考は、集団の中ですぐに伝染する。
これは、ぼくが助監督時代に体験したこと。
その逆に、前向きのエネルギーを行き渡らせるのは難しいんだ。
・・・本当に。
ぼくなんかひとり勝手な前のめりで、コロンで、すりむいて・・・。
あ〜あって感じだな。
でも、ずっと 「それでも」 と言い続けてきたように思います。
それを邪魔するのは 「しかたないよ」 という言葉。
自分の近くにいる人からそう言われるのは、
なんだか裏切られたみたいで、かなりのダメージをくらう。
そうなると自分も 「じゃあ、もういいよ」 と、
いつの間にか 「しかたない」 に引きずられていたりする。
「しかたない・・・」 と 「それでも」 の繰り返し。

では、どうするか?
いたるところから沸きあがる 「しかたない・・・」 のひとつと、
腰をすえて挑む意味から、
映画館を見て回りたいと行動しているわけです。
・・・で、神戸。

神戸では少しゆっくりできれば、と思っていたんだけど、
東京を発つ前のドタバタで気分は後ろ向き。
おまけに軍資金の調達にもてこずって、大阪経由のバンスキング。
我ながらたくましいというか、・・・つなわたり。
みんな映画のため。

そんなこんなで、たどり着いた神戸・新開地。
「神戸」 といえば 「ハイカラ」 という言葉と
イコールで結ばれるイメージだったんだけど、
新開地は大阪・新世界のノリ。
地下鉄から地上に出ると、ボートレースの場外券売り場。
競艇&競輪の近くにオッサンあり・・・というわけで、
昼間から立ち呑みのカウンターに背中が並んでいる。
そんなディープな界隈に
神戸アートビレッジセンター(KAVC)」 はあるのでした

KAVCは、震災後の復興住宅と併設された文化会館の地下にある
シアタースペースなので、純粋な映画館とは違う。
とはいえ、これまで 『世界はときどき美しい』 が巡回してきた
関西ミニシアター・シンジケート の重要な一館。
プログラム・ディレクターの樋野香織さんをはじめ、
スタッフは女性ばかり。

事前の映写チェックが入念に行われていたのはすぐわかり、
スクリーン・サイズも完璧。
音量設定には上映する側の意志が感じられ、
場内BGMも作品に合わせた独自のチョイス。
そんな女性らしい心配りだけでなく、
みんな見た目は可憐でも力こぶはシッカリ
フィルムのリールを映写機にかけるコトひとつとっても、
劇場は肉体労働の場だからね。

そんな彼女たちの健全なエネルギーが、
劇場の確かな磁場を育んでいる。
街で若い人の姿を見つけるのが難しい場所だから、
観客の数も決して多くはないけど、
大阪や京都・岡山から足を伸ばしてくれた方々ばかり。
その観客たちも、また女性。

岡山から観に来てくれた女の子は、
地元で上映される機会を待っていられなくて
「しかたなく」 来ちゃいました、と。
しかも仕事を終えた、その足で。
彼女の中では 「しかたない」 が前向きな意味で存在している。
こんな “勝ち方” もあるんだね。

男の 「しかたない」 は後ろめたく、
女の 「しかたない」 は力強い。
(・・・女たちも大変だろうけどさ)
あ〜男たちよ。
もう少し、がんばろうぜ!!

・・・と、自戒を込めて。
posted by seka-toki at 09:27 | 御法川修より

2007年07月15日

フェンスを越えるイメージ

片山瞳さま

御法川です。
雨の日は嫌いじゃないけど、台風ともなると呑気でいられないね。
被害が最小限に食い止められることを祈ります。

無我夢中で曜日の感覚がなくなっていた日々も少し落ち着いて、
あともう一息。
そんな、せわしない最中、
ぼくは京都と広島と福岡の上映に立ち会ったわけです。
移動の新幹線で爆睡している時間ばかり長くて、
ご当地メニューに箸をつける余裕もなく、トンボ帰り。
帰りの便を気にして酒宴も控えなきゃならないのは辛かったな。

福岡アジア映画祭」 の夜も、本当なら浴びるほど呑みたかった。
呑んで寝てしまいたかった。
でも、ウーロン茶片手のあなたがニコニコ嬉しそうにしてたから、
「まあ、いいか・・・」 と気休めになりました。
上映の翌日は、映画祭の皆さんから代わる代わるモーニングコール。
朝一の飛行機で帰京。
電話の向こうでザワザワ楽しそうにしているのが恨めしくて・・・。
トホホだったよ。
ぼくは羽田に着いたその足でスタジオに直行。
しばらく福岡に後ろ髪を引かれてました。

福岡では、あなたのご両親に挨拶をすることができましたね。
「たいせつな娘さんをお預かりしてムニャムニャ」 と、
なんだか結婚でも申し込むような緊張があったんだよ、本当は。 (笑)
ぼくらの仕事は、肉親が期待する 「子供であること」 から
遠く離れてしまう側面があります。
ある種の裏切りに近いかもしれない。

今回の映画でいえば、
娘が大画面でキスする場面を親が見なければならない理由はないし、
理解してくれというのも酷なこと。
でも、そこには “意味” があることを、きちんとお伝えしたかった。
一応ぼく、監督だしさ。
少しでも安心してもらえたら・・・と思っていたのだけど、
無用の心配だったみたいだね。
上映後に挨拶を返してくれたご両親とも、やさしい笑顔だったから。
お父さんはスマートな物腰だし、お母さんはチャーミング。
あなたが愛情を注がれて育ったことを知れて、ほんのり嬉しかった。
共に映画を創った仲間としての至福でしょう。

その 「福岡アジア映画祭」 は、あなたがブログに書いていた通り。
ぼくが体験してきたマイアミやバルセロナの映画祭と何ら変わらない
映画への愛情に満ちた、素晴らしい映画祭でした。

すべてボランティアで運営されているということは、
無償の奉仕に支えられているということ。 (・・・当たり前だよね)
とかく奉仕がギスギスした結果しか生まないこのご時世に、
映画祭スタッフのきらきらした笑顔は見逃せない。
有志の方々が、それぞれ暮らしを支える基盤を
映画以外に持たれている立派な生活者であること。
そこからくる精神のゆとりを感じました。
もちろん、暮らしと並行して映画祭の運営に尽力することは
並大抵のことではないでしょう。
でも、生活のそばに 「映画」 があることは、本当にすてきです。
自らプログラムを組んだ作品を、上映することへの誇り。
一度限りの上映に際して日本語字幕を付ける丁寧さ。
そのことを当たり前のこととして行えるのは、
“観たい” “見せたい” という原石のエネルギーが
ゆるいでいないから。

映画祭実行委員長の前田秀一郎さん、今村ミヨさん。
映画に身を捧げても、生活において報われることは少ないでしょう。
ぼくも苦しくなるばかりです。
でも、代わりのきかない個人の行動が、
必ず美しいものを生むことを信じています。
ぼくは前田さん達がセレクトした映画を一本でも多く観てみたい。
そう思っています。
強く。

そうそう、「京都みなみ会館」 での上映が終了しました。
大阪と同じように、東京と変わらない好調な動員だったとのこと。
今月28日(土)から公開がスタートする広島 「横川シネマ」 でも
上映回数を増やしたタイムテーブルを組んでくれました
映画館とスクラムを組ませていただいている、確かな実感があります。

福岡ソフトバンクホークスの王貞治監督は、
ホームランを打つならフェンスを越すぐらいのイメージじゃダメだ、
もっと上を狙いなさい、と選手に教えるそうです。
そうじゃないとホームランは打てないんだ、と。
ぼくらの日常も同じじゃないかな。
映画を宣伝し、観てもらうことも、また同じ。
上を上を と目指して、それだけの努力をしても、
現実はかなり下。
それでも諦めない。
足を止めない。

今週末からは、横浜と神戸で公開がスタート
ぼくはフェンスのさらに上へ目を向けてバットを振る構えです。
イベントが盛りだくさんなのは、劇場スタッフのバットスイングが
速いことを物語っていると思う。
ひとりでも多くの観客と映画が出会えることを期待して、励みます。
これより素振り100万回!!
posted by seka-toki at 15:52 | 御法川修より

2007年07月05日

一期一会

片山瞳さま

御法川です。
たった今、明け方の連絡で知りました。
京都で、山口伊太郎翁が鬼籍に入られたそうです。
享年105。

京都みなみ会館」 での上映初日を控えた、ちょうど一週間前。
伊太郎翁のドキュメンタリーに取り組んでいた二年前のことを、
このブログで回想したばかりでした。 

あなたが思い出してくれた通り、
事前取材のために初めて京都を訪れたのは桜が満開のころ。
京都紫野 (むらさきの) の地に在るご自宅へ招かれたのでした。
ご高齢であることへの配慮から、せめてご挨拶ができれば・・・
といった程度の心積もりだったはずが、
結局ご家族からも丁寧なもてなしを受けてしまい、
帰路につくころには夜。
電灯の少ない旧街道沿いを、ひとりてくてく宿まで歩いて帰ったのでした。
やはり緊張していたのでしょう。
道端でどっと疲れが出てしまい、神社の境内にしゃがみ込んで
桜を眺めたのです。
視界を埋め尽くすような桜の舞に意識が飛んで、
「気が狂いそうだ」 と、あなたにメールを送ったことも憶えています。
あのころ、あなたはまだ福岡にいたのでしたね。

そんなブログを東京で書いていた27日に、伊太郎翁は息を引き取られた。
ぼくがカメラを据えた京都のご自宅で。
老衰だったとのこと。

これが一期一会というものなのでしょう。
ご冥福をお祈りします。
心から。

伊太郎翁がライフワークとして取り組んでいたのは、
源氏物語錦織絵巻』。
現存最古といわれる物語絵巻 「源氏物語絵巻」 を、
西陣織の究極の粋を集めて創造しようという試み。

源氏物語の華やかな舞台が描かれていたはずの絵巻は、
すでに色が褪せ、当時の面影はありません。
この絵巻が描かれた時の本来の姿はどのようなものであったのか、
人々は様々に想像してきました。
科学技術を駆使して復元も行われましたが、
伊太郎翁は自らの想像力をふくらませることで色彩を生み、
織物として表現したいと考えたのです。
その仕事に着手したのは、70歳を過ぎてから
伊太郎翁の人生には定年も引退もなかったわけです。

全4巻の 「源氏物語絵巻」 のうち、3巻までが錦織絵巻として完成。
フランス国立ギメ東洋美術館に所蔵されています。
約30年の年月を要した織物の完成度を、ここで言葉にすることはできない。
ただひとついえることは、
それだけの情熱や労力、技術、時間やお金を尽くしきったとしても、
果たせないものが残る、ということ。
伊太郎翁は、最後の4巻目を2010年に完成させる覚悟でいたのです。

人生というのは、なんて短いんだろう。
伊太郎翁は105歳を生きた。
もっと早くに亡くなられる方もいるでしょう。
どっちにしても、人は生きている間に、ちょっとのことしかできない。

亡くなられた人のことを想うと、やっぱり泣けてくる。
涙が枯れるなんて、ウソだ。
人が生きている限り、涙は枯れない。

◆追伸
ぼくは7月7日(土)に広島 「横川シネマ」 の先行上映へ。
翌8日(日)には、あなたと合流して 「福岡アジア映画祭 2007」。
ぼくらの小さな取り組みも、大きな時間の流れに組み込まれた、
かけがえのない一瞬です。
ぼくらが死んでも、映画は残る。
そのことの意味を、真摯に引き受けたいと思っています。
posted by seka-toki at 05:58 | 御法川修より

2007年06月27日

水無月の輪をくぐり

片山瞳さま

御法川です。
ちょうど二年前のこの頃は、
『世界はときどき美しい』 の撮影準備を進めながら
京都でドキュメンタリーの撮影に取り組んでいました。
今年105歳になられる京都西陣の織り元山口伊太郎翁を取材する作品。
京都で一番最初に桜が開花するといわれる平野神社の前に宿を取り、
スタッフみんなで合宿しながらの撮影でした。

全ての撮影を終えたのが6月29日。
翌日からは夏越の大祓が執り行われるということで、
夕暮れの境内に提灯が灯されていたのを思い出します。
半年間の汚れを祓うため、本殿前に立てられた大きな輪をくぐり、
これから半年を無事に送れるよう祈る神事。
そんな水無月 (6月) の区切り目である6月30日(土)から、
京都での上映がスタートします。

◎京都の皆さまへ
公開初日には、ぼくから観客の皆さんへご挨拶をさせていただきます。
7月02日(月)までは10:20からのモーニングショーのみの上映。
祭の華やぎに包まれる京都の皆さんには早起きも有意義でしょうね。


   京都みなみ会館
   京都市南区西九条東比永城町79
   TEL 075-661-3993
   近鉄 「東寺駅」 西へ徒歩3分
   Mapion

   ◎上映期間 6月30日(土) 〜 7月11(水)




  公開初日にお越しいただけた方々へは
  プレゼントをご用意しました。
  お部屋で手軽にハーブが育てられる、
  映画オリジナルハーブ缶。
  先着30名様にプレゼント



◆追伸
ぼくは当日、明け方までスタジオ作業。
そのまま朝一の新幹線に飛び乗って馳せ参じる心積もり。
ヒゲぐらいは剃っていきますが、みすぼらしい惨状でもお許しくださいね。
なにをおいても、うかがいたいのです!!
映画館でお会いできるのを楽しみにしております。
posted by seka-toki at 23:29 | 御法川修より

2007年06月22日

たまには酒場で

草野康太さま

御法川です。
片山瞳とは電話で元気な声を聞く機会があったので。
今日は宛先を変えてみることに。

ブログ、読みました。 ◎草の便り
声を返してくれてありがとう。
・・・ でも、なんだか照れくさいな。
自分で書いたものを改めて読んでみても、気負い過ぎてて赤面。
諸先輩方からは 「御法川も青いな」 などと忠告を頂戴したりしましたよ。
おっしゃる通り と、笑って返事しといたけどね。
青くて結構。
まだまだ魂の部分で勝負するつもりだし。

ぼくは決して “いい子ぶる” つもりなんてない。
こうして 「映画」 に携わっていて、なにがしかの結果が出ても、
なにかが足りない。 満たされない。
なにが足りないのか、その答えを探している。
なにが足りないか?

うさんくさい物言いなのは百も承知で言えば、愛ですよ。
愛がないことが一番大きな罪なんだ。

パブロ・カザルスは、
演奏曲を安易に批評したり悪口を言いながらステージに立とうとした人を
怒鳴ってやめさせたそうです。
「おまえはこの曲を演奏する資格がない」 と。

いまぼくらのいる場所って、みんな内心よくないと思いながら、
感情を偽造しているようなこと、多くないですか。
あとでこっそり悪口を言う。
いつか自然に良くなればいい、自分には責任はないと見捨てている。
自分たちのちっちゃな土俵で、相撲も取らずに土俵入りばかりしている。

自分の仕事なんだもん。
喜びを持ってまっとうしたいよね。
そのためなら、どんなことだってするつもり。

ああダメだ。
また気負ってしまった。 (笑)
なにしろ今、ファイティングモードに入っているからね。

こんな時は酒場で、ちょっと一杯。
久しぶりに会いたいですな。

大阪 「第七藝術劇場」 での上映は今日 (22日) まで。
劇場のスタッフが連日、ようすを報せてくれます。
なかなか健闘しているようで、リピーターの方も多いとのこと。
読売新聞でも、その反響を記事にしてくれました。

大阪で落ち合う機会があったら、お薦めの酒場があります。
劇中のエピソード 『バーフライ』 で撮影したところ。


   ◎BAR 川名
   大阪市中央区難波1丁目1-8
   TEL 06-6213-5245
   営業時間 18時 〜 翌1時 (日曜定休)




織田作之助の 「夫婦善哉」 で知られる法善寺境内にある酒場。
初めて大阪を訪れた10年前に、
画家黒田征太郎さんに連れて行って頂いて以来、
ぼくにとっては大阪の玄関口となっている、たいせつな酒場。
ここでの記憶が、ぼくを “酒場好き” にした原因。
オーナーの川名正博さんは、えびす様をハードボイルドにしたような威風。
この界隈でニ度の火災があったことは知っているかもしれないけど、
その被害に遭いながらも、酒場の磁場は変わらず健在。
今回の大阪ロケでは大変お世話になりました。

東京で呑むなら、お薦めはイロイロあるけど、
六本木っていうのはどう?
ほぼ日」 でインタビューをしてくれた福嶋真砂代さんに教えてもらった酒場、
「TRAUMARIS (トラウマリス)」。
オーナーの住吉智恵さんは、
アートライターとして雑誌 「ART iT」 や 「東京人」 などに寄稿している方。
智恵さんも福嶋さんとそろって美女だよ。
・・・って、そんなことはどうでもいいんだけど、
お店のメルマガで映画のことを書いてくれています。
以下、転載。
(智恵さん、ありがとう

 号外 イチオシ映画情報
 東京上映は終わってしまいましたが、全国巡回中の映画、
 『世界はときどき美しい』 をご紹介します。
 5つの詩編からなるこの映画は、
 映像のドローイング集とよびたい端正なアンソロジー。
 グラスにふれる氷の音や、名も知れない植物の葉を透過する光をも
 丹念にすくいあげ、主人公の内面のゆらぎを投影させた視線は
 みずみずしく、日常の体温に限りなく近い。
 劇画タッチで愛を叫ぶ、日本映画バブルとは一線を画しています。
 8ミリフィルムをデジタル変換した映像の質感も絶妙。
 人間の肉眼にも似た、曖昧さとしたたかさをもっています。
 ぜひともDVDになる前に映画館で観てほしい作品。
 昨年の東京国際映画祭ほか、各国の映画祭に正式出品され、
 深く、静かに街のウワサ潜行中。


さて、23日(土)からは
「四日市中映シネマックス」 での上映がスタート。
一週間限定公開です。

6月30日(土)からは
京都みなみ会館」 にて。
公開初日には、不肖ワタクシの舞台挨拶を行わせていただきます。

7月07日(土)には
広島 「横川シネマ」 にて先行上映が決定しました。
7月28日からの本公開に先駆けて、一夜限りの特別上映です。

7月07日(土) 08日(日)は
第21回 福岡アジア映画祭」 に招かれての特別上映。
こちらは片山瞳が故郷に錦を飾ります (喩えが古いかな?)

そんなわけで、近々呑みましょう。
片山瞳はお酒が全然ダメだから、男ふたりで。
(仲間ハズレにするわけじゃないからね)

・・・ しかし、いつ呑めるだろうか。
ぼくは7月半ばまでは身動きが取れそうにない。
京都もトンボ帰りになりそうなんだ。
そちらのようすを教えてください。
では、また。
posted by seka-toki at 06:43 | 御法川修より

2007年06月17日

映画館をめぐる冒険

御法川です。
宣伝担当に代わって劇場情報を。
と、その前に、まず関係各位への謝罪。
・・・というより言い訳。

連絡が取れないとの苦情に対しては心よりお詫びを。
いくつか約束もすっぽかしてしまいましたが、
次回お会いした折に土下座してゴメンなさいを言ってから、
深く深くエネルギーを注がせていただきますので
どうか、お許しを。
只今、下着と寝袋を常時携帯しながら移動中。
東京の難民と化しております。

昨日は午後まで天王洲のスタジオにて作業。
夕方、六本木で西プロデューサーと面談。
諸連絡を受けながら、しばしお喋りに付き合ってもらい、
少しだけ人間味を回復。
その後、てくてく芋洗坂を下って麻布十番の銭湯 「越の湯」 へ。
・・・お風呂セットは常に持ち歩いております。
ゴシゴシ体を洗ってヒゲを剃り、さっぱりしてから五反田の編集室へ。
そのまま朝を向かえ、昼まで。
しばしの仮眠後、今晩は新宿の某ホテルで個人作業。
まだ公にできないニ作品が同時進行中なのです。

そんな中にあっても、
一番の気がかりは 『世界はときどき美しい』 のこと。

大阪 「第七藝術劇場」 の上映は、6月22日(金)まで
東京の単館上映作品を地方で受け継いでくれるミニシアターは、
本当に貴重な存在です。
ちなみに、この 「ミニシアター」 と呼んでいるのは、
“小さな映画館” という意味ではないですよ。
大きい、小さいでいえば、建物は立派なシネコンの中にも
無理な設計のキュークツなシアターがありますよね。

ミニシアターとは、
全国一斉拡大公開を義務づけられる極大化した映画とは別の、
“小さな映画” を公開する映画館のこと。
ぼくの映画体験は、このミニシアターに支えられてきました。

80年代半ば、東京にミニシアターが次々と開館していたころ、
ぼくは十代後半のやみくもに多感な時期。
全国公開の娯楽大作とは一風変わった、ちょっと難解だけど、
それでいて魅力的な世界各国の映画と出会えたのは、
ミニシアターのおかげ。
もちろん、思い出に浸って安易に美化することはできない。
様々な問題を抱えながら現在のシーンが形作られてきました。
当時、乱立するミニシアターの影で 「名画座」 が姿を消し、
今はシネコンの攻勢にミニシアターの存在が脅かされています。

ぼくはミニシアターを “守りたい” などと思っているわけではありません。
守れるだけの力もないですし。
ただ、いろんな映画を選ぶことのできる、
観る側の自由は失いたくありません。
観る側と、創り手が共有する映画の 「幅」 。
シネコンはスクリーン数を増やしてくれましたが、
極大化した映画ばかりが独占している現状に、
観客としてのぼくは不満です。

経済効率だけを優先していると、街並みと同じように、
全てがデパートの中に閉じ込められ、陳列されるだけになるでしょう。
便利なようでいて、結局は大きな資本の手玉に取られて、
あらかじめ選択の幅を決められてしまう。
ある種の洗脳。
心の渇きは増すでしょう。
これが、先進国の抱える空虚の正体です。

東京はもちろん、
地方のミニシアターを運営する映画人の感じている危機感は、
映画を創る側こそが認識していなければならないもの。
前回このブログに書いた通り、この想いをはっきり確かめられた以上、
ぼくは出来る限り 公開劇場へ足を運ぶ覚悟です。
守ることはできなくても、たいせつにすることはできるはず。

6月23日(土)からは、「四日市中映シネマックス」 での上映がスタート。
一週間限定公開です。
この週、ぼくはどうしても東京を離れられません。
今回の上映は、劇場側から声をかけてもらえたことで実現した経緯があります。
劇場の皆さま、ありがとうございます。
映画のことを、どうかよろしくお願いしますね。

6月30日(土)からは、「京都みなみ会館」 での公開がスタート。
こちらは公開初日に立ち会わせていただきます。
当日先着30名様には、プレゼントをご用意してお迎えしますので。
上映期間は、7月11日(水)まで。
タイムテーブルが変則的な理由は、
これまでずっとレイトショーで通してきた作品を様々な時間帯で上映し、
幅広い層の方が観てくれたら・・・という期待を込めた、
映画館側の配慮 (愛情) によるものです。

7月には、このブログの相方 (・・・漫才師のコンビみたい) である
片山瞳の生まれ故郷・福岡で上映されます。
「博多祇園山笠」 の熱気に包まれている時期に
『世界はときどき美しい』 をご覧になっていただけるというのは、
とても楽しみです。

◎7月07日(土)・ 08日(日)
  第21回 福岡アジア映画祭2007

7月08日(日)の上映では、片山瞳が凱旋舞台挨拶。
彼女の家族や友人達にも観てもらえるのでしょう。
このころには、彼女の新たな報せを聞くことが出来るかもしれません。
ぼくは保護者的に同伴させていただくつもり。

その後も上映は続きます。
どの映画館も、ぼくにとって思い入れのある劇場ばかり。
行きますよ
映画館をめぐる旅で得られたものは、必ず次の作品に活かして、
更なる観客との出会いにつなげていきますので
posted by seka-toki at 19:32 | 御法川修より

2007年06月13日

ナナゲイのこと

片山瞳さま

 御法川です。
 大阪 「第七藝術劇場」 の初日に立ち会って
 きました。
 当日のレポートを、劇場支配人の松村厚さん
 が熱くまとめてくれています。
 (松村さん、お会いできてよかった。 本当に

 劇場ロビーには、インタビュー記事を掲示
 した映画の特集コーナーまで設えてあって、
 『世界はときどき美しい』 が大事にされている
 のを感じて、とてもうれしかった。
 劇場スタッフの笑顔もすてきで、
 これまた気分よし。 (笑)

「第七藝術劇場」 は、「ナナゲイ」 の愛称で親しまれている映画館。
場所は、大阪は十三(じゅうそう)の栄町商店街にあります。
映画 『ブラックレイン』 の劇中で、マイケル・ダグラスとアンディ・ガルシアが
暴走族に絡まれるシーンで登場した場所がココ。
映画の中では、ひと気のないスモークに霞む幻想的なネオン街だったけど、
実際はケバケバしい原色の街。
人の往来もせわしないしね。
『ブラックレイン』 の撮影時には、いったいどれだけの交通遮断をしたのか
と呆れながら、現実の路上に立ち尽くしてしまったよ。

歓楽街・・・露骨に言えばピンク街の中心になっている商店街だから、
女性がひとりで歩きにくい雰囲気だけど、
じつは女性にはまったく無害で、危険なのは男性の方。
歩いているそばから呼び込みの嵐だからね。
でもぼくは、こんな猥雑な空気が嫌いじゃない。
スケベなことを考えなければ、けっこう笑えるんだよね。
生きてる、そこらじゅうで生きてる。
これもまた、人の営みのひとつなんだし。

そんな界隈にある 「ナナゲイ」 は、
かつて映画館を 「こや」 と呼んだ気分を実感させる、
まさに街の映画館。
山田洋次監督の名著のタイトル 「映画館(こや)がはねて」 (中公文庫) を、
ふと思い出した。
100席に満たないミニシアターだけど、客席はゆったりとした作り。
一時、経営難で閉鎖されたものの、街から映画の火を消してはいけない !!
という切実な想いに支えられて、昨年末に再オープンできた経緯があります。

劇場の運営再開に奔走したのが現支配人の松村さん。
運営委員の一人に、京都府舞鶴市で建設機械メーカーの代表を務めながら、
近年の日本映画界に意欲作を送り込む志摩敏樹プロデューサーが携わって
いることからも、この映画館が日本で創られるインデペンデント映画の最前線
を担っていることは明らか。

渋谷ユーロスペース、吉祥寺バウスシアター、名古屋シネマスコーレと来て、
今回の第七藝術劇場。
ぼくはその全ての劇場を巡り、
直に劇場を運営されている方々とお話することができた。
これは、大きな収穫となっています。

“日本映画バブル” と謳われる中、
国内の製作本数は700本近いなどと伝えられてはいるけど、
その大半はDVDセールスの宣伝を目的としたアリバイ興行の
“ための” 映画でしかない。
ともかく映画館で上映できさえすれば極端な話、
観客がいなくてもいいワケ。
上映されたという事実にかこつけて、
DVDのパッケージに 「劇場公開作品」 と表記されれば、
レンタル店への出荷率が上がる・・・というカラクリね。
ぼくもきれいな身の上ではないから、
このことを頭から否定できない。

でもさ、観客を期待されていない映画と、
それを上映しなければならない映画館の消耗は、
考えるだけでせつないよ。

一本の映画が創られるためには、どんな小さな作品であっても
個人では責任を負えない巨額の資金を必要とする。
当然、再生産のための資金回収と利益を上げることが事前に計画される。
そのためのビジネスの枠組みがあることも重々承知している。
でもね、なにやら縮小再生産の袋小路におちいってやしないか・・・と
歯がゆい気持ちでいるのは確か。

映画を創り、それを映画館で観ていただくこと。
そのためには、まだまだやらなければいけないこと、やれることがある。
(ねっ、松村さん

朝、大阪に着いてからのこと。
十三駅の改札を出ると、すぐ目の前に一杯呑み屋。
暖簾をくぐると、威勢のいい声で迎えてくれる。
プロデューサーの西さんから頂戴した餞別入りの封筒に手刀を切って、
昼間から一杯。 (一杯だけね)
コップ酒¥350也。
グラスに口をつけてすすりながら、ふと思う。
はたして映画は、このたった一杯のコップ酒のありがたみと
しっかり渡り合えているだろうか・・・と。
ぼくも、そしてカウンターの中のおやじも、
この一杯のお酒をバカになんてしない。
ナメテもいない。
求められ、それを提供し、「ありがとう」 と送り出す。
そんな末端の気分から確認したいことがあります。
真っ当な信頼関係を取り戻したいのです。

◆追伸
今日は、市川実日子さんの誕生日。
お祝いの気持ちを。
心から。
posted by seka-toki at 21:07 | 御法川修より
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