Welcome  ◎過去ログは、この記事の下に表示されます。

   このブログは、映画 『世界はときどき美しい』 の御法川修監督と、
  女優デビューを飾った片山瞳さんの交換ブログとしてスタートしました。
  映画は、第19回 東京国際映画祭でお披露目されたのち、
  2007年3月31日に渋谷ユーロスペースで封切られました。
  以後、順次全国で公開された他、国内外13の映画祭でも上映。
  現在はDVDが発売&レンタル中です。

  日本映画バブルの渦の中で公開された、小さな小さな一本ですが、
  製作に携わった私たちにとっては、かけがえのない大切な作品です。
  振り返れば、最初は行き先の不安な船出でした。
  ゆっくり一年をかけて、思いがけないほど多くの観客に恵まれた今は、
  映画のタイトルを口にして、その響きに深く頷いてしまいます。

  このブログは、私たちの映画が歩んだ一年間の軌跡です。
  右サイドバーに整理された情報は、メモリアルアルバムのような趣き。
  劇場へ足を運んでくださった方、DVDで新たに映画と出会ってくれた方、
  これからも多くの人たちが、このブログを訪ねてくれることでしょう。
  この映画が、それぞれの暮らしの中で育まれることを祈っています。
  これからもずっとずっと。  (2008年5月21日掲載)



  News Release  ◎過去ログは、この記事の下に表示されます。

  ◆御法川修監督の最新作が2作品同時に始動!!
      sankeiwest.gif
   Irodori_Rogo-A.jpg
   出演◎吉行和子/富司純子/中尾ミエ/藤 竜也
        平岡祐太/村川絵梨/戸次重幸
   主題歌◎原 由子 「ヘブン」   配給◎ショウゲート
   脚本◎西口典子  監督◎御法川 修
   2012年秋、シネスイッチ銀座 他 全国公開
   Copyright © 2012 「人生、いろどり」 製作委員会

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   映画 『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』
   主演◎柴咲コウ/真木よう子/寺島しのぶ
   原作◎益田ミリ (幻冬舎刊)
   脚本◎田中幸子  監督◎御法川 修
   配給◎スールキートス  2013年、全国公開

   Copyright © 2012 「すーちゃん まいちゃん さわ子さん」 製作委員会
   (2012年4月15日掲載)


  ◆片山瞳さんの最新作は、映画 『海燕ホテルブルー』 のヒロイン
   第60回ベルリン国際映画祭で銀熊賞 (最優秀女優賞) を受賞した
   寺島しのぶさん主演作 『キャタピラー』 など話題作を次々発表している
   鬼才若松孝二監督の最新作で、片山瞳さんがヒロインに抜擢
   直木賞作家船戸与一氏による同名小説の映画化。
   下のバナーを Click 予告編をご覧いただけます。
   (2011年10月28日掲載)
   


  ◆御法川修監督が手がけたコーポレート映像が受賞
   美容サロン用ヘア化粧品の総合メーカーとして国内トップを誇る
   (株)ミルボンの創業50周年記念映像を御法川監督が演出しました。
   片山瞳さんも特別出演されています。
   記念式典で一度限り上映される作品として完成したのですが、
   映像文化製作者連盟が主催する映像祭 「映文連アワード2010」 の
   大賞に当たる経済産業大臣賞を受賞しました。
   (2010年9月30日掲載)

   


 ◆『SOUL RED 松田優作』 (監督御法川修)
  生誕60年没後20年のメモリアルとして、
  最初で最後の公式ドキュメンタリー映画が誕生
  今なお人々の心に生き続ける男の軌跡。

  ★DVD発売中 ★ORICON TOP
  第22回 東京国際映画祭 特別招待作品
  Copyright © 2009 SOUL RED Film Partners 


◆御法川修監督が手がけたテレビCM が好評オンエア中
  映画界の豪華スタッフが顔をそろえ、贅沢な仕上がりになっています。
  是非ご覧になってください。
  (2009年3月1日掲載)

 

  スープで食べる、野菜のおいしく新しいカタチ 「ベジさめ」 新発売
  TV-CM 「モノクローム」 篇 Starring 加藤ローサ
  ★コチラを Click ムービーでご覧いただけます。
  Copyright © 2009 Acecook Co.,Ltd. All Rights Reserved.


  第49回 「消費者のためになった広告コンクール」 金賞受賞
  
  For Earth,For Life 〜 株式会社クボタ
  TV-CM 「過去と未来 (eプロジェクト地球小屋)」 篇
  ★コチラを Click ムービーでご覧いただけます。
  Copyright © 2009 Kubota Corporation. All Rights Reserved.


2007年06月03日

スタジオから

片山瞳さま

御法川です。
昨日から編集スタジオに篭城中。
ドキュメンタリーの仕上げに取り組んでいます。
今日は日曜。
スタジオのオフィスに誰もいないので、
こっそりパソコンを借りて
ブログを書き始めることにしました。

スタッフは 「遅い昼食」 という名の仮眠に入ってもらったところ。
24時間ぶっ通しの作業も追い込み。
ここまで来ると睡眠だけが大事な栄養源。
只今ソファに転がった二名のイビキが混声合唱を奏でています。 (笑)

いつもながら、
あとほんのちょっと余裕ある作業時間を与えられたら・・・と、
泣き言が心をかすめるけど、
映像制作は分刻みで大きなお金が消えていくシビアなゲーム。
あっちをウロウロ、こっちをウロウロしている暇はない。
事前に確認した到達点に辿り着くまでは、マシーンになる。
感情的な部分も切り捨てるから、
言いワケも泣きゴトも言えない。
言いワケとか泣きゴトって人間的な感情表現でしょ。

映画は、ぼくの自己表現のためにあるんじゃない。
ひとつの映画が生まれようとしている時に、
ぼくは人間でなんていられない。
映画のために、あらゆることを奉仕するイヌになる。
しもべ。

ぼくが人間味を回復できるのは、作品が完成したとき。
映画のために全てを犠牲にしながら、
ぼくは “下ーじゅつ家” になる。 (笑)

映画を好きで、映画に影響を受けた人たちが
「映画」 の仕事に就く。
映画の送り手になれるということは、本当に貴重なこと。
映画に携わることは、本来 「選ばれたもの」 の仕事です。
実際に日本でも、
かつての映画界は社会のエリートにだけ門戸が開かれる
狭き門だったのです。

間口が広がった現在、
ぼくのような存在も映画界の端ッコにいられるのは幸運なことだけど、
ならばより映画に尽くさなければと思います。
尽くし切って、死ぬだけ。

海外の映画祭で出会ったマレーシアとインドの監督たちが、
その後もメールで近況報告をくれます。
彼らは、しかるべき教育を受け、
難関をくぐって映画人としての地位を得た正真正銘のエリート。
うらやましいのは、国から補助を受けて監督生活を送っていること。
とはいえ、映画を創ることの困難は同じ。
身もだえるくらい、同じ。
身に沁みるよ。

ぼくらは基本的に 「貧しい」。
お金の問題じゃないよ。 (・・・それもあるけど)
ちょっと “おいしい” 話があったとしても、
基本的な貧しさは変わらない。

あなたも大変なこと、いろいろあるでしょう。
でもね、泣いてる暇なんてないんだ。
いつかまた、「映画」 を介して再会できる日が来ると、うれしいな。
マレーシアやインド、世界の監督たちも出会いを待っているよ。

◆追伸
この作業も、日付が変わる前には終わるでしょう。
そうそう。
昨夜、タバコを吸いに外へ出て、満月を眺めました。
posted by seka-toki at 16:18 | 御法川修より

2007年05月29日

なぜかキムチ大使?

片山瞳さま

御法川です。
ひとつ愉快な報告を。

某韓国エンタメ誌の編集スタッフが、
(ニンニクパワーに溢れたチャーミングな女性陣
映画を観て気に入ってくれたことから・・・
このたびワタクシ 「韓国キムチ大使」 を任命されたのです
しっかり 「韓国農水産物流通公社」 のお墨付き。

「キムチ大使」 の使命とは・・・
本場韓国産のキムチをもりもり食べ、
その味わいを広く日本に知らしめること。
ぼく、キムチ好きだし、OK。
そんな軽い気分で引き受けたのだけど、
先方の想いは不肖御法川を一人前の監督にしてやろうじゃないか!!
・・・というキャンペーンの一環なんだそう。
かなり過保護気味な母性に育まれて圧倒されています。

先日は美味しい焼肉をご馳走になりながら、
韓国焼酎 「チャミスル」 を初体験。
ストレートで乾杯を繰り返しているうちに、
カクンと身体から力がぬけ、
その後の記憶がない。

久しぶりに 「食事」 という行為が
相当のエネルギーを要するものだと思い返しました。

食べること、お酒を呑むこと、話すこと。
どれひとつとっても気がぬけない。
本来はね。
カッ込むばかりの素っ気ない食事を繰り返していると、
忘れてしまうね。
肝心なことを。

キムチ 〜 食事の連想で思い出したのは・・・
大阪鶴橋にある お好み焼き屋 「オモニ」。
モノ創りの精神を教えられた画家黒田征太郎さんに
ご馳走していただいたお店。

韓国食材店が軒を連ねる路地の一角で、
店構えは昔ながらの食堂。
なのに、店内に充満する “あの熱気” はナニゴトなんだろう
思い出すだけでワクワクしてしまうよ。
人が食欲を満たすために、胃袋になにかを納める。
そのなにかを作る側と、食する側。
相互がエネルギーを戦わせて、ついには爆発
キムチとスジ肉が山盛りの初めて見る厚さのお好み焼きを、
汗だくになってフーフー言いながら食べたんだった。

「食べる」 という、人が日々繰り返す行為を増幅させることからも、
世界の奥ゆきに触れることは可能なんだよね。

そんな風に考えていくと・・・
「キムチ大使」 の使命と 『世界はときどき美しい』 が抱えるテーマも
つながってくる。
・・・強引じゃないよね。 (笑)

いよいよ大阪公開です
posted by seka-toki at 02:37 | 御法川修より

2007年05月27日

本当に。

片山瞳さま

御法川です。
「吉祥寺バウスシアター」 の上映最終日も満員御礼となりました。
配給会社からの報告では、
「渋谷ユーロスペース」 の成績と比べても動員に落ちがなく、
好調だったとのこと。
東京での8週間のロングランは、
トータル4,000人の観客を動員した計算になります。
全国一斉公開作品なら一日で叩き出す数字だけど、
ゆっくりと時間をかけて観客と出会えたことは、
ぼくらの映画にとって幸せなことでした。
本当に。

ミニシアターの単館公開作品としては
ヒット作といっていい記録を達成しながらも、
まだ宣伝費すら回収できずにいる現状を知ると、
いかに映画が経済効率の悪いビジネスか思い知らされます。
ポジティブに思考を切り替えれば、“贅沢な仕事” だということだね。
本当に。

ショービジネスの世界にまみれると、
自分の貧しい現実を棚上げにして
¥数千万とかン十万人なんてイメージを軽く口にして悦に入ることがある。
でもそれは、愚かなことです。
丁寧に手を尽くした一本の映画を、
時間をかけて宣伝に努めたぼくらにとって、
それを受けとめてくれた観客を数字の記録でひとくくりになんてできない。
4,000人の観客が、ぼくにはある実感を伴ってイメージできます。
このことは、これから仕事に向かう上での骨になったと思います。
本当に。

観客の皆さんと、劇場のスタッフに感謝を。
心から。

今ぼくが考えているのは、大きな絵を描いてみたい、ということ。
『世界はときどき美しい』 は、絵画でいえばエッチング。
画廊の壁に飾られた小さな額に、眼を凝らしてくれることを期待し、
信じた。
次は大きなキャンバスに筆を走らせてみたい。
勇気がいるけどね。
・・・本当に。
posted by seka-toki at 23:31 | 御法川修より

2007年05月24日

終わり、はじまる

片山瞳さま

御法川です。
ぼくは取りこぼし気味の毎日。
シッチャカメッチャカで思考はバラバラ。
いろんなことが後回しになってしまって、不義理ばかり。
やらなきゃならないことは山積みなのに、
昨夜ふいに自分の映画を観たくなって、急いで吉祥寺へ。
開映5分前にバウスシアターに着いたら、なんと劇場は満席
入場制限がかかって、お帰りいただくお客様までいて恐縮。
ぼくは映画館のお掃除の手伝いをして帰ってきました。
結局、映画は観れなかったけど、うれしかった。

ビンにつめて海へ流した手紙を誰かに拾ってもらえたような気分。
映画を創っている間は、どんなに力強いスタッフが回りにいてくれても、
ひとり無人島にいる気分だったから。
無人島の波打ち際で手放したビンづめの手紙が、はるばる海を越え、
やっと誰かの手にわたり、フタを開けられた。

ひとまず明日で東京の上映は終了です。
ぼくは 『世界はときどき美しい』 という一本の映画を乗り継いで、
次なる映画に向かいます。
果てることのない追いかけっこです。

ぼくの仕事場は雑居ビルの7階。
いま目の前は、ビルの屋根に区切られた天窓のような青空。
いつもの青空だけど、さらにさらに遠くへ奥まっているのがわかります。
posted by seka-toki at 16:48 | 御法川修より

2007年05月22日

爆音の余韻

片山瞳さま

御法川です。
爆音上映にたくさんの方々が来てくれて本当によかった。 ね
ぼく自身が観たい 見せたい という上映形態を再現できたことが、
なによりうれしい。
まだ爆音の余韻に浸っています。

ぼくが伝えたかったことは、
“ささやか” なものを ささやかなまま差し出すのではなくて、
ささやかであるものに秘められた 「宇宙」 です。
世界の奥ゆき。
その奥ゆきを再現するためには、
そもそもあれだけの音量が必要だった。
もちろん映画の作り手として劇場の音量基準は承知していたから、
映画の仕上げ時に音圧を高めに整えていたんです。
小さな音の再現には特に細かく気を配った。
それなのに、思うように再生されない。
しかたないのかな・・・と、納得しようと思った時もあったけど、
まだまだやれることがある。
今回の爆音上映で、それを確信できました。

このブログでも度々書いてきたことだけど、
人の感受性というのは、
その人が “なにを” 知っていて、“なにを” 知らないかに深く影響されます。
人は 「知る」 ことで感受の幅を広げていけるんです。
味覚だって鍛えられるでしょ。
いくら高級食材だと言われても、
味わう経験をもてなければ “おいしい” と感じられないように。
高級料理と吉野家の牛丼を比べて、オレは牛丼の方が好きだ と言うのは自由。
だからといって、好き嫌い、という生理的な反応を吐き出すばかりじゃ、
世界の奥ゆきはつかめない。
おいしいものがあるなら食べてみたいし、
より美しい世界があるなら見てみたい、触れてみたい。
でしょ。

映画館の音量を上げる、たったそれだけのことが最初の一歩です。
ここからはじめられることがたくさんある。
映画を作る側と観る側。両者をつなぐ映画館。
共に真摯なエネルギーを交換していきたいです。

上映前には、あなたに詩を朗読してもらいました。
舞台挨拶のたびに引っぱり回して、
その上いきなり詩を読んでくれ、だなんて、かなり恐縮だったけど。
(ゴメンね。でも、引き受けてくれてありがとう)
でもね、ぼくらが舞台で挨拶することが劇場に集まってくださった方々にとって、
どれだけ価値を付加できているんだろう?
「舞台挨拶」 ということも、安易なお約束ごとになってやしないか。
そんなことを考えて、
あなたに詩を読んでもらおうと思いついたわけです。

「そんなもんだよ」 とか、「しかたない」 という言葉に邪魔されたくない。
今できるかぎりを尽くしたいと思っています。

さあ、とうとう 「吉祥寺バウスシアター」 での上映も25日(金)が最終日。
プロデューサーの西さんと一緒に最後の舞台挨拶です。

◆私的追伸
8週間の上映のうちに、観客の皆さんと知り合える機会にも恵まれ、
うれしく思っています。
声をかけてくださった皆さんに感謝。
心から。
  
三度も見てくれたという みつきとも さん。
いつもご夫婦で仲むつまじい。
プレゼントしていただいたプリザーブドフラワーのアレンジメント。
仕事場に飾っていますよ。

希望の仕事に就くことができたと報告してくれた坂本恵理さん。
それぞれの場所で共にがんばろうよね

手紙をくれた城間直美さん。
30歳の誕生日を迎えたころでしょうか。
おめでとう。
元気でいてくれたらうれしい。
posted by seka-toki at 14:10 | 御法川修より

2007年05月19日

音の手ざわり

片山瞳さま

御法川です。
今日、恵比寿駅のホームに立っていたら、
目の前で松田龍平の大きな顔が凄んでいるもんだから驚いた
「サッポロ 凄味〈生〉」 のアドボード。
さすがカッコイイよね。

それはそうと、爆音上映
本日5月19日(土)、夜9時から吉祥寺バウスシアターにて。
 すでにこのブログでもインフォメーションされ
 ている通り、コンサート用PAを駆使して映画
 のサウンドを増幅させます。
 夜を徹しての音響調整も完了。
 今夜だけは一番大きなシアター 「バウス1」
 での上映となります。
正真正銘、一夜限りの “ライブ” 上映です。

いま本当にワクワクしている。
とにかく観てほしい。
『世界はときどき美しい』 を気に入ってくれた方々には特に。
(告知の期間がなかったので心配なんだ・・・)

◎このブログをご覧の皆さまへ
━━━━━━━━━━━━━━━━
“爆音” といっても、
ふだんライブハウスやクラブでラウドなサウンドに身を浸している方々には
驚くほどではないでしょう。
今回の上映の音量を耳にうるさいと感じるようなら、
それはロックンロールの洗礼を受けていない証拠。
そう強気に言えるのは、
「映画」 がいつも曖昧な制約の中に閉じ込められてきたことへの
反抗心から。

ぼくらが手を尽くしてOKを出した完成品が、
観客の目に触れる劇場では画面が暗く、
音量も抑えられてしまう。
高画質と立体音響が家庭で簡単に手に入ってしまう今、
映画館の暗闇の価値を取り戻したい。
ひとつの画面に込められた一瞬ごとの情報量を、
正しく解放してあげたい。
音の手ざわりを回復したい。

映画を作る側と、それを観る側。
相互の真摯なエネルギーの交換によって、
「映画」 と 「映画館」 の可能性は、
まだまだ広がるのです。
その実践に立ち会ってください。 是非
心から。

◆私的追伸
国民投票法が成立して、
憲法9条を変えていく動きの外堀が
埋められてしまいました。

17歳の高校生が母親を殺し、
切断した頭部をもって自首するなど、
そこらじゅうで窒息寸前のストレスが
臨界のようなものを超えつつあります。

できごとに関連性はないけれど、
ぼくらの生きる世界は日に日に空洞化し、
人の心は荒涼としていくばかりです。
でも、斜に構えず、冷笑にまどわされず、
ぼくは太い声を上げていきたい。
映画の音響を増幅させることも、同じ気持ちから。

聞き漏らしてしまった音の一粒一粒を認識したいのです。
けっして、ノイズの中で気をまぎらわせたいのではありません。
すべてをなかったことにしてしまいたくないのです。
posted by seka-toki at 08:44 | 御法川修より

2007年05月10日

バルセロナ便り

片山瞳さま

御法川です。
バルセロナから帰ってきています。
東京に戻ってから三日目。
一昨日の昼、成田に着いたその足で仕事場に直行。
そのまま目まぐるしく時は過ぎ、いまだ横になって寝ていません。
いろいろ立て込んでいるのは事実だけど、べつに忙しぶってるわけじゃない。
気分が高揚しているから疲れも爽快な感じ。
映画祭では知的好奇心を存分に満たすことができたからね。

先月の 「マイアミ国際映画祭」 はフロリダ。
フィラデルフィア映画祭」 はニューヨーク近郊。
今回の 「バルセロナ・アジア映画祭」 はスペイン。
ともかくは、アメリカとヨーロッパの入口に立てたわけだよね。

この3つの映画祭で
『世界はときどき美しい』 と出会ってくれた観客の数は2,000人。
世界に視野を広げれば、
日本国内と合わせて5,000人を超える人たちが観てくれた換算になる。
ささやかな船出のはずが、広い広い海に出られたようで感慨深いよね。

もうじき開催の迫るカンヌ国際映画祭と比べれば小規模ではあるけれど、
世界の映画人が集う社交の場はエレガント。
会話も食事もお酒も知的で、生まれの貧しいぼくなんて
その雰囲気にまぎれているだけで、うっとり。

どの映画祭もインディペンデント映画の発掘を目的としていて、
コンペを競うのは皆、長編三作目までの新人監督たち。
ぼくの英語はまったく使いものにならないけど、
ぼく自身は通用していたようです。

ともかく、バルセロナでの公式上映は大盛況でした。
映画館は500人収容の大劇場。 (有楽町にある日劇の規模だよ
それが満員なんだから目を疑ったよ、本当に

◎このブログをご覧の皆さまへ
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渋谷ユーロスペースの上映は明日 (11日) まで。
最終日のレイトショー上映後には、
ぼくがティーチインをすることになっています。
ティーチインって聞きなれない言葉の響きから、
ぼくが歌でも唄わなけりゃならないような雰囲気ですが。 (笑)
英語表記は、Teach-in 。
映画をご覧になった方々からの質問に答えたりするわけです。
逆に、皆さんから映画の感想を聞かせてもらえるとうれしいです。

12日(土) からは 「吉祥寺バウスシアター」 でムーブオーバーです。
詳しくはコチラ
posted by seka-toki at 07:50 | 御法川修より

2007年05月02日

ムーブオーバー決定!!

監督の御法川です。
宣伝担当に代わって、ぼくから劇場に関するお報せです。
うれしいことばかりなので。

上映中の渋谷ユーロスペースでは、
昨日も 「映画の日」 ということで大勢の観客に恵まれたようです。
明日からGW後半。
そもそも 「ゴールデンウィーク」 の呼び名は、
映画会社が名付け親だということをご存知ですか。
ひとつの俗説でしょうが・・・
日本映画の黄金時代、正月&お盆に匹敵する稼ぎ時として、
そう読んだのがはじまりだと聞いた覚えがあります。

というわけで、『世界はときどき美しい』 も稼ぎ時?なのでしょうか
土日祝日はレイトショーに加えてモーニングショーもあります。
4日(金)のレイトショー上映後にはトークショーを開催。
片山瞳と福嶋真砂代さん、美女ふたりが登壇。
詳しくはコチラをお読みください。

連休中、一度は映画館に足を運ばれてはいかがでしょう。
恋人あるいは友人と連れ立って出かけても、劇場の暗闇の中では、ひとり。
あっけらかんと明るい空虚が広がる都市の中で、
“ひとり” を育む時間は、やはり必要なんだと思います。

心が弱ると身体が弱る。
身体が弱ると心が弱る。
わかりやすいのは、心身が弱ると自己治癒力が落ちるそうです。
傷が治りにくい。
心身のメンテナンスの方法は人それぞれでしょうが、
この自分という器の中に住むかぎりは
いい状態にしておきたいものです。

前置きが長くなりました。ゴメンなさい。
さて、本題。
渋谷ユーロスペースの上映は、いよいよ5月11日(金)まで。
公開初日から6週間。
DVDセールスのショーケース的な短期上映で切り替わっていく作品が多い中、
ぼくらの小さな映画が皆さんに発見され、
長くたいせつにされたことを嬉しく思います。
心から。

ユーロスペースの上映が終わると、
さらに吉祥寺バウスシアターに劇場を移して
ムーブオーバーされることが決まりました。
うれしい。

6月からは順次全国へ
『世界はときどき美しい』 は全国一斉公開される映画ではありませんから、
上映用フィルムのプリントは、3本。
1本は英語字幕が付けられて世界を旅しているところ。
残り2本が国内上映用。
この限られたプリントをいかに効率よく全国へ回せるかが、
配給会社の腕の見せ所。

たった3本のプリントとはいえ、
ぼくと撮影の芦澤明子さんが現像所の技師と共に手塩にかけたもの。
1本1本、画調の肌合いが微妙に違うので、
ぼくには何本目のプリントかすぐにわかる。
名前を付けて呼んであげたいほど、たいせつなプリント。
そろそろ傷も増えてきたけれど、
変わらない想いをスクリーンに映してくれるはず。
ぼくは極力すべての公開初日に立ち会いたいと思っています。
とはいえ、なかなか余裕のある身の上ではないので苦しいところですが、
夜行バスに乗ってでも・・・なんとか。

【大阪】 第七藝術劇場
【三重】 四日市中映シネマックス
【京都】 京都みなみ会館
【兵庫】 神戸アートビレッジセンター
【広島】 横川シネマ
【宮城】 仙台フォーラム


ぼくは明日から 「バルセロナ・アジア映画祭」 へ。
コンペティション部門の公式上映に出席してきます。

◆追伸
TBS 「新・天までとどけ」 シリーズで松田美由紀さんと共演した
女優の小橋めぐみさんが映画を観てくれて、
HPの日記に感想を書いてくれています。
ありがとう。

めぐみさんの親友として紹介された村山華子さんは、
映画の感想として写真を送ってくれました。
こういう気持ちの伝え方もあるんだね。
すてきだったのでお見せします。
レイトショーを観た翌日の朝なんだそう。
(勝手にアップしちゃうけどゴメンね。でも、うれしかったから)
 
posted by seka-toki at 13:07 | 御法川修より

2007年04月25日

生きる地図

片山瞳さま

御法川です。
ぼくらの仲間、コウちゃんこと、草野康太が自身のブログ
沢木耕太郎さんの著書に触れています。
◎『世界は「使われなかった人生」であふれている』 (幻冬舎文庫)

この本、ぼくのバッグの中にも放り込まれていて、
大事に読み進めているところ。

 沢木さんの著作との出会いは、
 丸坊主だった高校生の頃に読んだ 「一瞬の夏」。
 カシアス内藤という混血のボクサーが
 再起をかける姿を追ったノンフィクション。
 冒頭の一行目から最後の一行まで、
 食欲を埋める代わりに文字を食べるように読んだ。
 うわべだけの背伸びに必死だった田舎の小僧は、
 精神の背丈が急激に伸びたように感じたものです。

人間ってやつのきよらかさ、邪悪さ。
その複雑なグラデーションの中を自分も揺れ動いているんだと知って、
ちょっとやそっとの軋轢にはヘコタレない免疫を作り出してくれたように思う。
鍛えられた、と言っていい。
一冊の本に。

人が何かを見るとき、
自分の経験や知識によってモノの見え方は違ってくる。
自分の中にあるものを反映してしか見えてこないから。
自分がなにを知っていて、なにを知らないかに影響されているわけ。
感情も同じ。

あることに直面したときに感情が動かなかったからといって、
目の前のものに意味が無いとは言い切れない。
まだ鍛えられていない感情だってあるはずだもの。
肉体を一度バラバラにしてみれば、
さびしげな器官の寄せ集めにすぎない人間に心があることが
そもそも不思議なんだから。

ぼくらは 「いまここ」 を生きながら、
横断歩道を渡ったり、コンビニで買い物をしたりしているよね。
個人の生きる地図上の行動範囲はとても限られている。
いく度か住まいを変えたり、旅をして見知らぬ土地を訪ねても、
必ず自分が暮らす場所をひとつ定め、
ささやかな生活の資を得るための仕事につく。
その往復に日々は溶け込んでいるように思えるかもしれない。
・・・とはいえ、
さまざまな顔とすれ違うことも含めた数多くの出会いがあり、
言葉を交わしながら表情の筋肉を隅々まで動かし、
想像を絶する量の食料を胃袋に収めてきたのも事実。
それは生まれた時からはじまって、今なお進行中。
歩いたり走ったり息切れしたりする一方で、生きる時間の半分は睡眠。
そんなのろまな歩みの一歩一歩に、感心してしまうことがある。
感心しながら、ふと笑ってしまう。
どんなにありふれて平凡に見えようと、
自分の想像を超える世界があることに。

ぼくらはまだまだ知らなければならないことがある。
たくさん、ある。
目に見えないものや言葉にならないものを情緒的に愛でるより、
見えるものに目を凝らすことや、
手を伸ばせば届くものに触れることの方を、
ぼくはたいせつに感じます。

◆追伸
今日のブログのタイトルは、
尾崎豊の 「十七歳の地図」 に気持ちを引っかけた。

 BSエンターテインメント 「尾崎豊 15年目のアイラブユー」
 【チャンネル】 NHK-BS2
 【放送日程】 4月28日(土) 午後8時〜10時 (120分)
 【出 演】 松田美由紀│片山瞳│原田龍二


片山瞳、がんばれ
自分で行けると思っている地点より、ずっと先を目指してください。
もちろん、ぼくも。
それぞれ共に。
posted by seka-toki at 23:54 | 御法川修より

2007年04月18日

自分を奏でること

片山瞳さま

御法川です。
あなたが映画と出会うまでのこと、拝読しました。 

なにかを思い出す時には、
いろんな心の働きかけが絡まっているものです。
「私は」 と語るとき、
そこには過去を反映した時間と、
未来を想像する時間が同時に横たわっている。

思い出されたことは、自分の中で 「認められた」 こと。
思い出されたことが終着点じゃなくて、
そこから心が開かれて、新たな想像へ向かう分岐点。
想像されたイメージを自ら体験していく歩みが
「生きること」 なんだろうな、きっと。

想像されたイメージを 「夢」 と呼ぶよね。
ぼくやあなたは、これからも夢を語るでしょう。
でも夢は、甘くてかわいいお菓子やオモチャじゃない。
もしぼくらが楽器の演奏者だったら、
イメージされた音を奏でるための訓練が必要だよね。
訓練しても表現できない音だと気づいて諦めるのか、
さらなる激しい訓練を課して追い求めるのか・・・。
格闘のプロはトレーニングを一日いいかげんにやると自分にバレる、
と言います。
三日いいかげんにやると対戦相手にバレる、
一週間いいかげんにやると試合の観客にバレる、
一ヶ月いいかげんにやると取り返しがつかなくなるそうです。
ぼくらのような仕事は下手をほめられちゃうこともあるから、
気をつけないとね。
ずるずるっと落ちていきます。

自分という “楽器” が美しい音色を奏でるまでには、
まだまだ厳しいレッスンが必要。
その道のりを思うと、遠い。
そろそろ新たな楽譜に挑まないとね。
posted by seka-toki at 14:41 | 御法川修より
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