Welcome  ◎過去ログは、この記事の下に表示されます。

   このブログは、映画 『世界はときどき美しい』 の御法川修監督と、
  女優デビューを飾った片山瞳さんの交換ブログとしてスタートしました。
  映画は、第19回 東京国際映画祭でお披露目されたのち、
  2007年3月31日に渋谷ユーロスペースで封切られました。
  以後、順次全国で公開された他、国内外13の映画祭でも上映。
  現在はDVDが発売&レンタル中です。

  日本映画バブルの渦の中で公開された、小さな小さな一本ですが、
  製作に携わった私たちにとっては、かけがえのない大切な作品です。
  振り返れば、最初は行き先の不安な船出でした。
  ゆっくり一年をかけて、思いがけないほど多くの観客に恵まれた今は、
  映画のタイトルを口にして、その響きに深く頷いてしまいます。

  このブログは、私たちの映画が歩んだ一年間の軌跡です。
  右サイドバーに整理された情報は、メモリアルアルバムのような趣き。
  劇場へ足を運んでくださった方、DVDで新たに映画と出会ってくれた方、
  これからも多くの人たちが、このブログを訪ねてくれることでしょう。
  この映画が、それぞれの暮らしの中で育まれることを祈っています。
  これからもずっとずっと。  (2008年5月21日掲載)



  News Release  ◎過去ログは、この記事の下に表示されます。

  ◆御法川修監督の最新作が2作品同時に始動!!
      sankeiwest.gif
   Irodori_Rogo-A.jpg
   出演◎吉行和子/富司純子/中尾ミエ/藤 竜也
        平岡祐太/村川絵梨/戸次重幸
   主題歌◎原 由子 「ヘブン」   配給◎ショウゲート
   脚本◎西口典子  監督◎御法川 修
   2012年秋、シネスイッチ銀座 他 全国公開
   Copyright © 2012 「人生、いろどり」 製作委員会

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   映画 『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』
   主演◎柴咲コウ/真木よう子/寺島しのぶ
   原作◎益田ミリ (幻冬舎刊)
   脚本◎田中幸子  監督◎御法川 修
   配給◎スールキートス  2013年、全国公開

   Copyright © 2012 「すーちゃん まいちゃん さわ子さん」 製作委員会
   (2012年4月15日掲載)


  ◆片山瞳さんの最新作は、映画 『海燕ホテルブルー』 のヒロイン
   第60回ベルリン国際映画祭で銀熊賞 (最優秀女優賞) を受賞した
   寺島しのぶさん主演作 『キャタピラー』 など話題作を次々発表している
   鬼才若松孝二監督の最新作で、片山瞳さんがヒロインに抜擢
   直木賞作家船戸与一氏による同名小説の映画化。
   下のバナーを Click 予告編をご覧いただけます。
   (2011年10月28日掲載)
   


  ◆御法川修監督が手がけたコーポレート映像が受賞
   美容サロン用ヘア化粧品の総合メーカーとして国内トップを誇る
   (株)ミルボンの創業50周年記念映像を御法川監督が演出しました。
   片山瞳さんも特別出演されています。
   記念式典で一度限り上映される作品として完成したのですが、
   映像文化製作者連盟が主催する映像祭 「映文連アワード2010」 の
   大賞に当たる経済産業大臣賞を受賞しました。
   (2010年9月30日掲載)

   


 ◆『SOUL RED 松田優作』 (監督御法川修)
  生誕60年没後20年のメモリアルとして、
  最初で最後の公式ドキュメンタリー映画が誕生
  今なお人々の心に生き続ける男の軌跡。

  ★DVD発売中 ★ORICON TOP
  第22回 東京国際映画祭 特別招待作品
  Copyright © 2009 SOUL RED Film Partners 


◆御法川修監督が手がけたテレビCM が好評オンエア中
  映画界の豪華スタッフが顔をそろえ、贅沢な仕上がりになっています。
  是非ご覧になってください。
  (2009年3月1日掲載)

 

  スープで食べる、野菜のおいしく新しいカタチ 「ベジさめ」 新発売
  TV-CM 「モノクローム」 篇 Starring 加藤ローサ
  ★コチラを Click ムービーでご覧いただけます。
  Copyright © 2009 Acecook Co.,Ltd. All Rights Reserved.


  第49回 「消費者のためになった広告コンクール」 金賞受賞
  
  For Earth,For Life 〜 株式会社クボタ
  TV-CM 「過去と未来 (eプロジェクト地球小屋)」 篇
  ★コチラを Click ムービーでご覧いただけます。
  Copyright © 2009 Kubota Corporation. All Rights Reserved.


2007年04月10日

いい旅でありますように

片山瞳さま

御法川です。
「渋谷ユーロスペース」 では公開初日から一週間の観客動員数が、
すでに1,000人を超えたようです。
レイトショーという限定興行ながら、予想外の記録に驚いてしまうね。
でも、これはあくまでも数字。
日々の中に時間を調整し、実際に劇場まで足を運んでくれた方々のエネルギーを、
数値になんて置き換えられるものじゃない。

劇場の明かりが落ちて、
客席を埋める人たちの背中が暗闇にすうっと溶けていくのを眺めるとき、
ひとつの旅立ちを見送るような気持ちになります。

大きなリュックを背負った友の横で、ぼくは駅のホームに立っている。
列車が静かにすべり込んでくる。
乗り込む背中に、どんな言葉を投げかけようか思案しているうちに、
扉は閉まる。
いい旅でありますように。
さびしさがこみ上げながらも、旅立つ友を勇敢に感じる。
でも、見送る自分にうっとりしている暇はないんだよね。
ぼくも旅支度をはじめなければいけない。
旅支度が、たとえ万全でなくても、出かけるべき時には出かけなきゃいけない。
常により良いところを目指して、ね。

● ● ●

名古屋シネマスコーレ」 の初日は雨の中、満員御礼でした。

  

この日、「フィラデルフィア映画祭」 でも一回目の公式上映を迎えていたんです。
名古屋とフィラデルフィアの距離を思うと気が遠くなるけど、
映画館の暗闇は、同じ。

真夜中のコンビニで、蛍光灯に照らし出された顔をガラスに映すとき、
そこはひどく殺風景な場所です。
コミュニケーションなんて本当はできっこないんじゃないかと思ってしまう。
あっけらかんとした明るみの下に暴きだされるばかりの日常で、
まだ映画館の暗がりだけが失われていない。
ぼくらは暗闇の中でこそ、
隠されていたものを知ることができるのです。

「シネマスコーレ」 のスタッフは皆、映画館の暗闇を信じている。
だから、「シネマスコーレ」 の暗闇は奥行きが深い。
シートに身をしずめた方々は、闇の静けさの中で、
トランプ遊びの神経衰弱のように心のカードを順番にめくっていくのでしょう。
その先に、青空が広がっていることを願っています。
いい旅でありますように。

最後に、「シネマスコーレ」 の皆さんに感謝。
木全さん、江尻さん、坪井さん、ありがとうございました。
あなた達の熱量が光の束になり、ひとすじ映画館の暗闇を走りぬけ、
スクリーンに像を結んでくれました。

◆追伸
「キネマ旬報」 4月下旬特別号に、
『世界はときどき美しい』 のプロデューサーである
西健二郎が寄稿したエッセイが掲載されています。(185p)
このエッセイを読めたことで、ぼくは自分の仕事に誇りを持つことができました。
内輪で褒めあう発言は慎むべきでしょう。
でも、どんな批判があったとしても、それとひきかえにしてもいいくらい、
たいせつなことがあるのです。
そのことは、お伝えしたい。

いい仕事はそれに関わるすべての人を成長させる。
そんな仕事をぼくもやっていきたい。
posted by seka-toki at 12:05 | 御法川修より

2007年04月03日

ありがとう

片山瞳さま

御法川です。
誕生日のお祝い、ありがとう。
ぼくが35歳になった昨日は、公開が始まって最初の平日。
小雨の降る中、劇場には大勢の方々がいらしてくれていました。
ありがとう、ありがとう。

ぽつんと立っているプロデューサーの西さんを
劇場のロビーで見つけて苦笑い。
ここでも、ありがとう。

◎このブログをご覧いただいている皆さまへ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
下の写真は、公開初日の朝に関係者一同へ振る舞われたお赤飯。
なんと 片山瞳が自宅で作ってきてくれたもの。



みんな言葉少なに受け取ったのは、
彼女の料理の腕前を心配していたのではなくて (笑)
愛情の深さに胸を突かれてしまったから。
ぼくも自宅へ戻って、しみじみ味わいました。
おいしかったなぁ。
冷めていても、ホクホク湯気が立ち昇るようだったもの。

想いを込めるということ。
誰かを悲しませるより喜ばせたいという精一杯の気持ち。
それがあらゆる創造の原点でしょう。

お赤飯を噛みしめながら、ぼくは息をこらして祈っていました。
こんな祈り方もあるのだと初めて気づきました。

  この地球という惑星の上で暮らす全ての人が、
  それぞれの持ち場で与えられた人生を
  誇りを持ってまっとうできますように。
 
  人の心が百円ショップのように陳列されることなく、
  明るく丁寧に生きられますように。

  人類平等なんてありえないけれど、
  ひとりの個人が生きるエネルギーは、
  なにとも代え難い果実です。

  ・・・とはいえ、
  ぼくやあなたが誰からも喜ばれる金貨でないことは明白です。
  他人と衝突することで、
  気持ちがひるむことは避けられないでしょう。

  でも、
  まさつがなければ、どのようにして自分のトゲトゲしさやデコボコ、
  不完全や欠点に気づくことができるだろう?

  振り返らず先に行こう。
  勇気を出して。
  曖昧な霧に道を惑わされず、もっと豊かなものを求めていきたい。

ぼくにとって映画を創るということは、
なにか派手ななそぶりで目立とうとか、
人に先んじようとかしているのではありません。
威張りたいのでもないし、誰かをやっつけたいのでもない。
映画という創造物を通して、人と人がたいせつなものを交換する。
共鳴したり、反発してみたりしながら。
そのことで、人の生を少しでも高めていけることを望んでいます。

こういうことを公の場で記すのは慎重にならないと、
ただおこがましいモノ言いで終わってしまうけれど、
ぼくは自分が生きる状況と抜き差しならないところで
メディアの仕事に携わりたいと思ってきました。
飲食に携わる人も、服を作る人も、建築や医療、それから政治家も皆、
いま生きている人と関わり合うことを求められ、身を削っているのに、
映画だけが 「お芸術」 の中に留まっていていいはずはありません。
ひとりぼっちに放り出して、さびしい想いをさせてはいけないんです。

◆追伸
4月6日(金)夜9:10の回上映前に舞台挨拶が行われます。
登壇していただくゲストは、
劇中で市川実日子さんの家族を演じてくださったお二方。
女優・演出家として活躍されている木野花さん。
『浅草ふくまる旅館』 では西田敏行さんを相手に、
品のある大人の色香とやさしさを見せてくれましたね。

もうひとりは、草野康太さん。
以前このブログで紹介した通りの我が親友。
初日には、ちょこんと客席で映画を観てくれていました。
今度は舞台挨拶を担ってもらいます。

・・・ところで、市川実日子さんは、
荻上直子監督 (『かもめ食堂』) の新作 『めがね』 の撮影中。
すてきな映画になることは間違いないでしょうから、
本当に楽しみです。
posted by seka-toki at 14:06 | 御法川修より

2007年03月31日

最後のスタッフ

片山瞳さま

御法川です。
いよいよ本日3月31日(土)は、
映画 『世界はときどき美しい』 の公開初日。
一回目の上映は朝9:50からのモーニングショー。
松田美由紀さん、そして鈴木慶江さんと共に、
ぼくも舞台挨拶に立ちます。

あなたの舞台挨拶は明日4月1日(日)だけど、
いても立ってもいられず今日も劇場に顔を見せるのでしょうね。 (笑)
それでいいと思います。

初日を迎えてしまったら、
ぼくらにできるのはせいぜいニコニコ愛想を振りまくことくらい。
でも、いま出来る限りのことを尽くし切ろうよ、ね。

日々の中に時間を調整し、劇場まで足を運ぶという行為が、
簡単なことでないのは想像がつくはず。
渋谷のユーロスペースまでたどり着いてくれる人たちのエネルギーに、
尊敬と感謝を込めてニコニコしましょう。

観客の数が少数だとしても、そこに想像力の磁場が生まれることを、
ぼくは信じています。
行動は、必ず美しいものを生んでくれるはず。
一本の映画を通りぬけて、
新しい “なにか” が展開することを期待しています。

劇場に足を運んでくださる観客の皆さんが、
この映画の最後のスタッフです。
ようやく、ぼくたちの映画が完成を迎えます。

 ◆追伸
 このブログをご覧いただいている皆さまへ。
 初日舞台挨拶に関するインフォメーション
 是非ご確認ください。
 劇場でお待ちしております。
 心から。
posted by seka-toki at 00:05 | 御法川修より

2007年03月29日

これが友情

片山瞳さま

御法川です。
見たよ、昨日の東スポ
井筒和幸監督のコラムの横であんなに大きく取り上げられて、スゴイ

◎このブログをご覧の皆さま。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ぼくと片山瞳の書簡ブログということで、
二人してネット上でイチャついているように見る向きもあるかもしれません。
・・・が ぼくは彼女の頼りない兄貴分。
(心は父親の気分ですけど・・・)
製作時から今日の日まで約2年間、新人監督と新人女優のコンビ。
“ 新人ふたりぼっち ” でした。
彼女は晴れて 「オフィス作」 に所属。
松田優作さんの威光を浴びながら、美由紀さん&龍平さんと名を並べて
真摯に映画と取り組む覚悟を決めました。
応援をよろしくお願いします。

・・・さて、ぼくはといえば、今日もチラシ配り。
そんな中、ラジオ番組の収録をさせてもらいました。

◎榊英雄の 「HAVE SOME FUN」 (SHIBUYA-FM)
  放送日:4月6日(金) 10:30〜10:58

番組のパーソナリティは俳優の榊英雄 。
(長い付き合いなんで呼びすてにするけどゴメンね、榊
日本映画界の若きバイプレイヤー。
現在、シネマアートン下北沢で公開中の 『棚の隅』 にも出演中。
ワイルドなマスクながら “ 気が優しくて力もち ” なナイスガイ。
じつは女性的な感性に溢れたガラスの少年 (笑) なのを、ぼくは知ってる。
彼とは14年来の友人。
『世界はときどき美しい』 の宣伝を買って出てくれた次第。
これが友情というものでしょう。
胸に沁みます。

榊は俳優を志して長崎・五島列島から上京。
東京で受けた最初のオーディションに見事合格し、映画の主演を勝ち取る。
それが 『この窓は君のもの』 (95) という作品。
当時、日大の学生だった監督の古厩智之さんは今や日本映画界のホープ。
ぴあフィルムフェスティバル (PFF) のスカラシップ作品という成り立ちから、
撮影現場は学生スタッフが多く、自主映画の自由さに溢れていたのだけれど、
撮影スケジュールの遅れが問題となっていました。
当時、まがりなりにもプロの助監督だったぼくは、
「あと一週間で撮影を終わらせよ」 とのプロデューサー指令を受け、
山梨県の撮影現場へと送り込まれたのでした。
そこでの遭遇を契機に、ぼくらは頻繁に連絡を取るようになり、
いろんなことを語り合ったものです。
一緒に飲んだお酒の量も半端じゃなかったしね。
くすぐったいけれど、ぼくにとっても彼にとっても
二度と取り戻すことのできない青春時代だったんだろうな、あれが。
ただ、決っして美しい青春でなかったところが男のことわり。

榊にしてみれば、華々しい映画俳優デビューのはずが、
映画が完成してから劇場公開まで1年の時間が置かれたため、
まだ世に出ていない無名の男に逆戻り。
手製のプロフィールをもって自ら監督やプロデューサーと会っても、
手にできる役はどれもエキストラと変わらない。
エネルギーのやり場に悶々とする日々。
でも、理想と現実のギャップに焦っていたこの時こそ、
彼が俳優への道を歩み始めた出発地点だったんだろうね。

ぼくはぼくで同じような状況だったから、
しばらく疎遠になっていた期間があったんだけど、
そのころ彼は北村龍平監督との出会いに恵まれ、
堂々の主演作となる 『ALIVE』 をモノにする。
新宿の映画館に出かけたぼくは、ひとりスクリーンに拍手を贈ったんだ。
実際にパチパチッとね。
お客さんは驚いていたけど、恥ずかしさなんてない。
本当にうれしかったから。

ぼくらは個別にそれぞれの作品と向かい合うことしかできないけれど、
映画に携わる一員として、お互いの励みになる仕事を残していきたい。
そして、いつか共に一本の映画を創る日が来ることを願っています。
榊、本当にありがとう。

ちなみに・・・
ぼくと榊が密接に付き合っていた暗黒時代の同伴者が 草野康太
愛称コウちゃん。



『世界はときどき美しい』 では市川実日子さんの兄役を担ってもらったよね。
彼を自分のフレームでとらえられた喜び、同じ現場を共にしている時の安心感。
本当に助けられました。
どんな冒険も恐れずやれる心強い仲間です。

彼のブログではキチガイじみた宣伝を展開中。
これもまた友情と呼ぶのでしょう。
(コウちゃん、次なる映画を早くなんとかしましょう

最後にお知らせ。
「ほぼ日刊イトイ新聞」 の連載でインタビューを受けました。
ライターの福嶋真砂代さんが注いでくれたのは、友情というより愛情でしょう。
ぼくが愛されているわけではもちろんありませんが (・・・残念ながら)、
福嶋さんの映画に対する愛情深い文章を喜んでいます。
ご近所のOLさんは、先端に腰掛けていた。 by 福嶋真砂代
posted by seka-toki at 13:16 | 御法川修より

2007年03月27日

映画の天才

片山瞳さま

御法川です。
ムーミンベーカリー&カフェ」 のタイアップメニューを味わってきたんだね。
ムーミンといえば、「マイアミ国際映画祭」 でのことを思い出すな。
Q&Aで、すいぶんと質問されたんだ。
マイアミの人はムーミンを知らないんだね。
ムーミン童話の世界や作者のトーベ・ヤンソンについて語って聞かせると、
「なんて物知りな監督なんだ」 と驚かれて可笑しかった。
でも、つくづく思ったのは、
映画は未知の世界を眺める 「窓」 なんだ ってこと。

映画の天才」 ってサイトを知ってますか。
主催する中井圭さんは、映画情報サイト 「シネマスクランブル」 の編集長。
面白い映画を観たい そしてそれを一人でも多くの人に報せたい という
素朴な想いをゆるがせない行動の人。
熱いです。

仕事には、主題と手段がある。
本質がわかっていない人は、手段の方を目的だと勘違いしがち。
ぼくにしてみれば 「映画監督になること」 は、あくまでも手段。
主題は 「観てもらう価値のある映画を作ること」 です。

メディアの怠慢は手段だけだからだと思う。
あなたは 「なに」 を 「どう」 したいんですか?って聞き返したいことが
一杯あるよ、ホント。

その意味で中井さんは信用できる。
なにをおいてもまず自分がやらなけりゃって走り出す人だから。
知らぬ間に 『世界はときどき美しい』 のことも宣伝してくれています。
(中井さん、本当にありがとう

・・・というわけで、参加させてもらいました。
「映画の天才」 主催、第12回 “天才” 試写会 『バベル』。

◎映画 『バベル』
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:ブラッド・ピット / ケイト・ブランシェット / 役所広司 / 菊地凛子
2007年4月28日(土)より全国ロードショー


Copyright © 2006 by Babel Productions,Inc.All Rights Reserved.


アカデミー賞ノミネートの色眼鏡をヌキにして、
『バベル』 は菊地凛子さんの映画でした。
日本の映画界ではこれまで解放し切れなった
彼女の女優細胞を目の当たりにできたのは、
名前を憶えるのが大変なメキシコの才能
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥと出会えた奇跡のたまもの。

菊池さん自身が抱え続けていた深くて暗い闇に、
そっと手を差しのべる監督のセンシティブさがせつない。
映画自体が菊地凛子という存在に吸い込まれていくようだった。
映画が形作られることで、彼女はハッキリと救われたはず。
映画って、いろんな人生を呼び込んでしまうんだね。

アメリカ ・ メキシコ ・ 日本を結ぶイメージのパッチワークは壮大だけど、
傷つきやすくて儚い、小さな小さな作品。
悲観的な現実の中にいても、少しも諦めていない。
その強さに打たれました。
ハリウッド大作のイメージを期待すると肩透かしかもしれないけど、必見

◆追伸
このブログをご覧いただいている皆さまへ。
ぼくらの映画 『世界はときどき美しい』 の初日舞台挨拶が行われます。
整理券の配布に関するインフォメーション、是非ご確認ください。
劇場でお待ちしております。
心から。

最後に、もうひとつ。
本日の 「夕刊フジ」 に柄本明さんのインタビューが掲載されています。
posted by seka-toki at 15:07 | 御法川修より

2007年03月26日

マイアミから遠く離れて

片山瞳さま

御法川です。
公開初日までのカウントダウンがはじまりましたね。
今朝は松田美由紀さんが 『はなまるマーケット』 で
映画のことを宣伝してくれていました。

ぼくは地道にフライヤー配り。
「ソーン・ツリー ギャラリー」 で開催中の公開記念展へ顔を出すと、
映画館や街のカフェでフライヤーを手にしてくれた方々が多くいて、
うれしい。
直接言葉を交わせる機会をたいせつに感じています。

ちなみにフライヤーは2種類。

   

たかが宣伝ツールの紙キレ一枚ではありません。
親密な人へ贈る手紙のように丹精込めて練り上げられたもの。
写真家の大橋愛さんが撮影現場で撮り下ろした写真に、
デザイナーの奥村香奈さんが水彩で着色して仕上げました。
目にしてくれた人に、映画のハートが伝わることを願っています。

でも、この “伝えたい” って気持ちはなんだろうね。

むかし京都の旅館で、
泣きながら台本に火をつけた監督の逸話があります。
「ぼくは自分のために映画を作っているんじゃないんだ。
 どうして判ってくれないんだろう・・・」
そう言って泣きながら、畳の上で台本に火をつけた。
火事になるところで、宿の人は 「あの監督はキチガイだ」 と
噂したそうです。

ぼくは、その監督の気持ちを理解できます。
ぼくもそう。
自分のために映画を作ってるんじゃない。
自分のためじゃなかったら何のためなのか?
問われたら答えに困るけど、今は。

“なにか” が伝わることの喜びと恐れを同時に思うとき、
マイアミ国際映画祭に参加した日々を思い返します。


◎上の写真は、
マイアミ国際映画祭のアワードセレモニーで、
出席者に配られたシリコンバンドです。
posted by seka-toki at 02:11 | 御法川修より

2007年03月20日

狂想のユニオン

片山瞳さま

御法川です。
マイアミでのことが懐かしい今日この頃。
あなたの相手役を担ってくれた瀬川亮が客演している舞台へ
出かけてきました。

吉祥寺シアターで公演中の劇団 「イキウメ」 第八回公演、
『狂想のユニオン』。
作・演出を手がける前川知大さんのお名前とその活躍は、
かねてから耳にしていたので、
同世代の表現者に対する期待を胸にしての観劇。

ブログで評論めいたことを書き散らすのは控えたいところだけど、
刺激と啓示を受けたので、メモしておこうと思います。

冒頭いきなり謎が差し出され、
映画のアバンタイトル風にキャストが映像でクレジットされる幕開けから、
前川知大さんの語り口は加速
観客の感情に触れることを慎重に避ける劇作と、
ホラー映画を思わせるザラリとした砂まじりのムードに浸っているうちに、
突きつけられる命題はシリアス。
暗い予感と、ぎりぎりの希望を前にして、舞台はストンと幕を閉じる。

人間の意識には、大きな大きな領域があるよね。
簡単には踏み込めない深い森のように、知らないことだらけ。

エンタテインメントの語り口は、主に感情の部分に働きかける。
涙したり、感激しやすいように誘導してくれる。
その一方で、感情の部分に働きかけるのを、ためらう表現があると思う。
感情表現が巧みだと派手だし、もてはやされるけど、
ぼくらは生きている間に少しづつ確かめなくちゃならないことが、
まだまだあるはず。
ありきたりな感情に溺れている場合じゃないんだよね。

心の奥そこの最深部に “なにか” が触れてしまうと、
すっと 「感情的」 に通り過ぎることができなくて、
吹きさらしの中に立ちすくむような沈黙をひき起こすかもしれない。
けれど、その沈黙は、いつか必ず力に転じる。
必ず。

ある決定的な局面に出くわすことによって、
これが 「喜び」 だと呼ぶ以外、呼びようがないという段階にたどり着いた時、
そこに初めて 「喜び」 が成立して、
人は自分の知っている 「喜び」 という言葉をそれに与える。
オウムが口真似をするのとは違う形で、意識の中に言葉が浮上する・・・
っていうのかな。

ともすれば人が一生をかけて得るような経験を、
劇空間に身を沈めた観客は疑似体験する。
ひとつの命題を、
送り手と受け手が真摯に交換することで生まれるリアリティ。
そのリアリティを共有する場が 「劇場」 なんだよね。
お芝居だけでなく、映画館だってそう。

「イキウメ」 という劇団が勢いをはらんでいることは、
劇場に集まっていた観客の意識の高さが証明していたように感じました。
うらやましい。
・・・って指をくわえている場合じゃないと、
さっそく映画のチラシを折り込んでもらっちゃった。
(スタッフの皆さま、ありがとうございます

そうそう、瀬川亮。
緻密なストーリーテリングの中では、役者の芝居場が犠牲となりがち。
そんな中で的確かつ理知的な成果を見せるのが、我らが瀬川亮でした。
たのもしい
posted by seka-toki at 09:42 | 御法川修より

2007年03月16日

時差ボケ

片山瞳さま

御法川です。
マイアミ国際映画祭から帰ってきました。
あなたに贈ってもらったお守りと一緒に、
一週間のマイアミ滞在でした。


このブログ、ぼくとの往復書簡のはずなのに、
さびしい思いをさせてしまいましたね。
すぐにお土産話を聞かせなきゃ・・・
と思いながらもグズグズしてしまったのは、
祝祭の場から東京の日常に引き戻されたパラノイアで、
宙ぶらりん。
ここ数日、金魚みたいに口をパクパクさせてばかり。
伝える言葉を探していた感じ。
・・・といっても、公開初日を控えてのんびりしている暇もなく、
昨日は映画の宣伝を兼ねた講演をしてきました。
そこでもマイアミの話になるのだけど、
自分の珍道中をネタに笑ってもらうばかりで、
なかなか自分のたいせつな気持ちを話せないままです。

ともかく、ぼくの最大の収穫は、
一本の映画を介して生きている人と関わりがもてたこと。
しかも、日本の公開前にアメリカで!!

あっ そう、忘れてたことがある。
バレンタインのチョコを戴いておりましたね。 (感謝
色気のない不精な日々を送っているぼくには
大変うれしいプレゼントでした。
二日遅れのホワイトデーのお返しに、写真を贈ります。
キューバ料理のレストランで出されたデザートのケーキ。
・・・この間の悪さが、マイアミとの時差です。


posted by seka-toki at 11:13 | 御法川修より
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